アルバトロスは天高く舞う 《確定無職のジョブマスター》
芍薬甘草湯
第1話 アルバトロス=無能
俺はアルフレッド。
最強の冒険者になるため【天職授与の儀】を受けに山奥の村からオネットの街に出て来た。
俺はいつか物語にもなったルナ・トリオールのようになるんだ。
物語【ルナの冒険】の主人公、女ながらに冒険者として最強になったルナ・トリオール。様々な【ジョブ(職業としての才能)】をマスターしたが、最終的なジョブは不明なルナ。
俺はそのルナのようになりたいと思って村でそれなりに修行して来た。
どうか良いジョブを授けてくれますように‥‥‥。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「アルフレッド、【アルバトロス】!!!!」
ザワザワ‥‥‥
周囲が騒がしくなるのも無理はない。
【アルバトロス】とは翼が大きく飛び立つまでに時間がかかる鳳の本当の名前。ただしそのため見つけることが出来れば大馬鹿者でも狩ることが可能である『オオバカトリ』と言った別名がつけられていた。そう言った罵倒の意味を込めた使い方が一般的だ。
そこから転じて、何の才能のない【無能】【無職】という意味にも使われる。
つまりは天職授与の儀においては【無職】の才能しか無いという事になる。
それぞれのジョブはジョブレベルを上げる事で極める事が出来る。これを【マスター】という。マスターした場合は、他のジョブへと変更が可能である。これをジョブチェンジという。
唯一【アルバトロス】にはジョブレベルがない。つまりマスターできないためジョブチェンジも出来ない。加えて【アルバトロス】はジョブ固有の【特技】もない。
この時点でアルフレッドはこの世界で最も弱いと認識されてしまった。
『天職授与の儀』で授かる【ジョブ】と「職業」は別だ。ある程度関連はあるのだが。
例えばジョブ【戦士】ならば職業なら兵士や傭兵などに向いている。【魔術師】なら王宮魔術師など、【治癒師】なら治療院職員などだ。
唯一どんなジョブでもなれるのが『冒険者』である。つまり【アルバトロス(無職)】の俺は『冒険者にしかなれない』のである。
早速冒険者ギルドのドアを開ける。見慣れない俺を周囲が見てくる。
「こんにちは、こちらでは冒険者の登録を受け付けております。依頼の受付はあちらになりますが‥‥‥」
「いや、こっちでいい。登録をお願いしたい」
「こちらの書類に記入を。それと登録料銀貨一枚です」
村を出ると決めてから村中の手伝いをしまくってなんとか貯めた銀貨二枚。いきなり半分なくなるのは痛い。だが他に金を稼ぐ方法がないため致し方ない。
「はい、ご記入ありがとうございます。えーっと、アルフレッドさんですね。ジョブは‥‥‥ププッ! ‥‥‥失礼しました。アルバトロスでよろしいですね?」
受付嬢に笑われた‥‥‥。しかも結構大きい声で話すものだから周りにも聞かれてしまった。
「‥‥‥あぁ」
「おいおい、アルバトロスって‥‥‥」
「大丈夫なのかよ、すぐ死ぬだろ?」
ザワザワ‥‥‥
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
アルフレッド
レベル1
【ジョブ】アルバトロス
HP 30/30
MP 10/10
腕力 4
器用 3
素早さ 2
体力 5
魔力 1
【特技】
なし
【特性】
なし
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