第15話 晩御飯と看板娘

 晩御飯は宿の下の食堂で食べることにした。今日は特に頑張ったから自分に対してのご褒美があってもいいだろう。


「はい、お待ち〜。ブラックバッファローのステーキです!」

おぉ、美味そうだ!


「お兄さん、景気が良いね!! アタシはこの宿屋の看板娘のエリーだよ!」

 看板娘って自分で言っちゃうんだ。


「まぁ、頑張ったからな。俺はアルフレッドだ、よろしく」


「アルフレッド‥‥‥アルさんって呼ぶね。アルさんは凄腕の冒険者なんだねぇ?」

「いや、そんな事ないぞ。まだEランクだからな」


「えっ!? Eランク? なのにステーキなんて‥‥‥! あっ!! 早まっちゃダメだよ。生きてればいい事だってあるんだから!!」

「ブッ! ゲホゲホ‥‥‥」

 余りの答えに咽せてしまったじゃないか!

 み‥‥‥水を!!


「ゴクゴク‥‥‥ふぅ。いや、そんな訳ないだろ」

「あはは、冗談だよ、冗談! でもEランクでこんなに稼げるなんて不思議だよ」


 めっちゃ話しかけてくるな、この娘。

「そんなに持ってるんならさ、このあと上で一晩イイことしない?」

「ブーッ!!」

 また噴き出してしまった。


「‥‥‥いや、いい。間に合っている」

 口周りを噴きながら返答する。

 

「おい、エリー!! いつまで喋ってんだ。仕事しろ、仕事」

と、奥から怒鳴り声が‥‥‥。

「んもう、客なんてそんなに居ないじゃないか、全く。アルさん、アタシの方はいつでも良いからその気になったら言ってね!」

 まったく従業員教育とかどうなってるんだ。看板娘なのに夜のお誘いとか大丈夫なのかよ。


『こういう宿はそういう事もアリなんじゃよ。我の事は気にせずヤッてしまえば良かったじゃろうに‥‥‥』

 いや、気にするわ!



「エリーちゃんからの誘いを断るなんて‥‥‥!」

「俺たちなんて頼んでも断られるのに‥‥‥」


 なんかザワザワしてる。


 エリーさんからは熱のこもった視線を、周りの男衆からは嫉妬感たっぷりのじっとり視線を受けながらメシを食うハメになった。


 明日からは宿を変えようかな‥‥‥?


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


 気まずいメシも食い終わって部屋に戻ってきた。

 さてと、明日はどうするかな。


『剣術の鍛錬もした方が良いじゃろな』

 それな。ミスリル刀も使ってみたいし。


『そうじゃ、防具はどうするんじゃ? 重鎧、軽鎧、ローブ、戦闘服に全身鎧といろいろあるがの』

 そういえばそうだ。

 俺の場合はどういうのが良いのかな?


『重い鎧などは守備力はしっかりしとるが重いため動きが悪くなるぞい。戦闘服は逆じゃな。ジョブによってもモンスターにとっても戦い方が変わるから装備も変えるのが戦略というものじゃ』

 ふむ、難しいんだな。


『ま、お主の場合は装備制限が関係ないだけに自由に選べるのが強みじゃな』

 まぁいろいろ揃えておけば変更も出来るからそうしよう。

 よし、じゃあ明日は防具屋を巡るとするか。

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