第13話【レベル『521』】
「数字で強さは計れません」ルゥンは言った。
はぃ?
「いや、でもレベルが『521』でしょ? それってけっこう強いってことじゃない? 最高値が『999』とかなんでしょ?」と訊き返す。
「いいえ、『999』ではありません」
「じゃあいくつまであるの?」
「いくつまでも、延々と桁が増えていくのでキリがありません。〝理屈の上では〟ということにはなりますが」
「ならこの数字が存在する意味ってあるの?」
「『わたしはあの人よりは
「……」
モロに〝偏差値〟じゃないの、それ。
「じゃあいま一番数字が多い人はいくつなの?」
「900代、だったはずです」
「なら事実上『999』がレベルの最高値じゃないの?」
「いえ、『無双転生者』ならこの程度のレベルではありません」
『無双転生者』か。そう言えばフォーエンツオランさんも言ってたっけ、『あなたの言ったのはおそらく『無双転生者』のこと』だって。
「ねえルゥン、その『すてーたす・おーぷん』とかいう魔術でわたしのレベルが分かるかしら?」
「それはもちろん分かりますが——」と語尾を微妙に濁すルゥン。そういうの、わたしはすぐ気づく。
「気が進まないみたいね、」
「申し訳ありません。エリお嬢様がご気分を害されるのではないかと思いましたもので」
「べつに害さないからだいじょうぶよ。もしかしてわたしが『無双転生者』になってるかもしれないし」
そんなことを言ってもルゥンはこれ以上なにかを言うでもなく、その口から出てきたことばは「ステータス・オープン」だった。たちどころに空中に現出するかのウインドウ。
「ご自身の目でご確認をお願いします」と言ってルゥンはまたそのウインドウをくるりと回しわたしの正面を向くようにした。読める部分は〝数字〟しかない。
「……『1』って、これは『0』よりはマシということかしら?」
「申し訳ありませんエリお嬢様、『1』より下の数字は出ません」
なにこれっ、最低の役立たずってことじゃない! わたしっ!
「どうかなさいましたか、エリお嬢様、ふつうの人、つまりたいていの人は『1』と表示されてしまいます」
「つまりあなたは、わたしの521倍強いってことね。かなり腕が立つってことになるのね」
「恐れ入ります、エリお嬢様」
「ところでルゥン、あなたは『ギルド』に籍を置いていると聞いたけど」
「その通りです」
「その『ギルド』はなんの同業者組合なの?」
「魔物を討伐することを
「魔物っ⁈」声が裏返ってしまった。
「エリお嬢様は聞いてはいませんか?」
「まったく初耳。この世界がそんな世界だったなんて!」
訊くべきことが次から次へと出てきて切りがないくらい。
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