概要
一族の衰退を予期し権謀術数を張り巡らせる貴族の令嬢レイチェル、その兄にして、次代皇帝候補の父と奴隷の母を持つ青年ルーカス、森の中で家族とともに密やかに暮らす少年レジナルド、港町の大衆食堂で下働きをする奴隷アクィルス─斜陽が忍び寄る時代、彼らは出会い、そして己の運命を知る。
平日に2回、土日、計週に4回の更新。
世界観はユリウス・クラウディウス朝前半のローマ(約2000年前)をモチーフにしつつ、随所でアレンジを加えています。
エブリスタに投稿していた作品の改稿版です。
本作は小説家になろうにも投稿しています。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!歴史そのものを紡ぐ、本格重厚ファンタジー
これは、例えば、『魔王を倒す』というような、ゴールが明示されている冒険譚ではありません。さまざまな人々がそれぞれの価値観、正義感、倫理観、目的意識などの為に行動し、それらが縒り合さって一つの大きなうねりになっていく、言わば、歴史の物語です。
帝政初期のローマを下敷きにした、手を伸ばせば触れられそうなほど実体感のある世界観。個性的で魅力的な登場人物たち。神君と称えられる開祖から三代目の時代という、実際の歴史上の国々においても良くも悪くも節目となった時期に、自己の確立を模索する少年は、謎だらけの箱庭の謎だらけの少年は、一癖も二癖もある野心家のお姫様は、何も考えていない放蕩無頼のようでいて実はそう…続きを読む - ★★★ Excellent!!!創りこまれた世界観と魅力的な登場人物たちによるファンタジー群像劇
古代ローマの世界観をベースに、魔法や、エルフを思わせる民族も登場するファンタジー作品です。
この作品において私が特に魅力的だと感じたのは、やはり世界観ですね。
史実上の世界を下地としつつ、高い文章力によって独自の世界がしっかりと創造されています。この世界の文化や価値観が詳細に描かれ、料理や空気の匂いまでもが伝わってくるほどです。
現実の窮屈な現代社会とは違い、粗暴ながらも大胆でエネルギッシュな世界が輝いており、良い意味での懐古的な癒しを感じることができます。
また、この作品は大まかに三つの視点による群像劇として紡がれており、どの視点にも主人公として物語を引っ張る人物が存在するのも特徴です…続きを読む - ★★★ Excellent!!!青き瞳は 時代を映す
国の終わりに 斜陽の例え
夜明けの為に 日は沈む
栄華極めし 彼の大国も
久しからずや 衰えて
宿命(さだめ)を背負う その星たちは
血に導かれ 動き出す
チート、転生、といった要素は無しに、真っ向からファンタジーを描いた重厚な作品です。
いわゆる“よくある異世界”ではなく、古代ローマ風の帝国が舞台となっており、
独自の世界観をもった中身の濃い設定は、読む者を惹きつける魅力に溢れています!
剣と魔法の冒険ファンタジーではなく、運命に翻弄される者たちの群像劇……というと難しく感じる方も居られるかもしれませんが、そこは心配ありません。
緻密に描かれた世界描写は、丁寧な文体でスラスラと読め…続きを読む - ★★★ Excellent!!!古代ローマ帝国を仮想舞台とした重厚ファンタジー
最新話まで拝読してのレビューです。
とにかく手に汗握るという表現が相応しい重厚なファンタジーです。
純然たる異世界ファンタジーではありません。
古代ローマ帝国の世界観がその下敷きとなって本作を支えています。では、学校で学んであろうローマ帝国のことを知っていなければ楽しめないのか?
そんなことは全くありません。むしろ知らない方が本作の世界にどっぷりと浸って楽しめる気がします。
もちろん、知っていれば知っているなりの楽しみ方もあります。
また冒頭には、本編とは別に「最新話までの登場人物」「現在公開可能な世界観設定」が親切にも用意されているため、とても分かりやすいです。
本作には魔法の要素も…続きを読む - ★★★ Excellent!!!【傑作】今も昔も、ヒトの本質は変わらない。それでも『自己』を人は求める
『自分自身に命令することのできない者は、他人に服従することになる。
自分自身に命令できる者は少なくないが、彼らとて自分自身に服従するまでの存在には、そうなれるものではない。』――フリードリヒ・ニーチェ
古代時代に魔法が存在する舞台。
主人公が何を代償としても渇望し続けるのは『誰の代わりでもない、自分という存在の認識』。
現代日本よりも解りやすく、国籍や身分によって人が人を"物"として扱うのが当たり前の時代背景の中で『俺は誰の代わりでも無い』と抗う敗戦国の奴隷青年アキが、価値観の相違や自身のルーツを徐々に知っていく過程の葛藤がとても生々しく、人間臭く描かれているのがまず本作の魅力のひとつ…続きを読む - ★★★ Excellent!!!ローマを知らなくても面白い。「ローマ人の物語」を好きな人は尚更必読!
一番にこのことをお伝えしたい! 想像以上にローマ帝国です。
街中の様子、人々の生活様式、微に入り細に入り描かれる世界から浮かび上がるのは正しくローマ帝国。しっかりとした文体で書かれた描写からは、街中の香りまでしてきそうな感じがします。
そんなローマ世界を下地にした大国ローランを舞台に、青い瞳の少年・アクィルスを主軸とした重厚な群像劇が繰り広げられます。
レビュー時点で最新話まで読んでいますが、点と点だった登場人物達が出会い、絡まり合っていくのが本当に面白い。これぞ群像劇の醍醐味!
ローマ帝国好きな方はもちろん、そうでない方もじっくりと楽しめる骨太な作品です。