創りこまれた世界観と魅力的な登場人物たちによるファンタジー群像劇

古代ローマの世界観をベースに、魔法や、エルフを思わせる民族も登場するファンタジー作品です。

この作品において私が特に魅力的だと感じたのは、やはり世界観ですね。
史実上の世界を下地としつつ、高い文章力によって独自の世界がしっかりと創造されています。この世界の文化や価値観が詳細に描かれ、料理や空気の匂いまでもが伝わってくるほどです。
現実の窮屈な現代社会とは違い、粗暴ながらも大胆でエネルギッシュな世界が輝いており、良い意味での懐古的な癒しを感じることができます。

また、この作品は大まかに三つの視点による群像劇として紡がれており、どの視点にも主人公として物語を引っ張る人物が存在するのも特徴です。
かれら主人公以外にも魅力的なキャラクタが多数居り、読み進めるごとに好きなキャラが増えてゆきます。
ちなみに、私のお気に入りは「フロールフ」と「メルヴィル」という人物ですね。両者とも非常に癖のある人物なのですが、彼らの内面や心情を知るにつれて、どんどん好きになりました。

実在の歴史がモチーフと聞くと少々構えがちですが、上記のような魅力的な要素もあり、とても読みやすく描かれております。間違いなく名作です。
ぜひ多くの皆様に、この素晴らしい世界を訪れて頂きたいですね。オススメです。

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