歴史そのものを紡ぐ、本格重厚ファンタジー

これは、例えば、『魔王を倒す』というような、ゴールが明示されている冒険譚ではありません。さまざまな人々がそれぞれの価値観、正義感、倫理観、目的意識などの為に行動し、それらが縒り合さって一つの大きなうねりになっていく、言わば、歴史の物語です。
帝政初期のローマを下敷きにした、手を伸ばせば触れられそうなほど実体感のある世界観。個性的で魅力的な登場人物たち。神君と称えられる開祖から三代目の時代という、実際の歴史上の国々においても良くも悪くも節目となった時期に、自己の確立を模索する少年は、謎だらけの箱庭の謎だらけの少年は、一癖も二癖もある野心家のお姫様は、何も考えていない放蕩無頼のようでいて実はそうでもなく芯に強いものを秘めていそうな青年は、さて何を選び、どうなっていくのか。
現時点で76話までが公開されていますが、おそらくはまだ助走の段階、彼らの飛翔はこれからが本番なのだろうと思うと、わくわくしてきます。歴史や文化、群像劇がお好きな方は、是非。

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