島での暮らし

「おお、お連れさん元気になったんだな。」

波止場では船頭が話しかけてきました。

「僕達はガーネット島へ行きたいんですが、ビーンさんのボートはどれですか?ボートを貸してくれるって。」

「あれがそうだよ。ビーンさんの世話になってるんだな。世話好きな爺さんだったろ?、、、そういや、こないだ警官が一人で乗って来たぜ。

ポリ公は大嫌いでね、昔酷い目にあったからな。水ん中に落としてやったさ。泳いであの岸んトコに泳いで行ったがな。

あんた達を追いかけて来たんじゃないか?気を付けた方が良いぜ?」


(ハミルトン警部かも?)

(ン、、、そうかもな?)

(どうしよう?)

(、、、心配要らない、トルコ島じゃ目立つような事は出来ないと思う。)


ケディーは不安でしたが、ガーネット島での買い物に集中する事にしました。

ガーネット島には大きな市場があり、活気にあふれていました。

ダイヤモンドシティより物はずっと安く、値引きやオマケしてくれたりしました。

「こんなの、ダイヤモンドシティでは考えられない。これだけ揃えれば、助かるわね。」


ハミルトン警部が、ガーネット島から帰った二人を見ていました。

「ミハエル様、それとあれは、ケディーか、、、怪盗モモンガがミハエル様を連れ去ったと聞いた。

やはりケディーが怪盗モモンガだったんだな。」

ハミルトンは、この事をルビーに報告するべきか迷いましたが、

「、、、仕事熱心も考え物だ。ルビーには、トルコ島には居なかったと言っておこう。」

警部は、見つからんでくれよ、と願って帰って行きました。


ミハエルは買ってきた材料で家を作る事にし、ケディーはその間、ビーンにウイスキーを持って行くついでに料理を習う事にしました。


ミハエルは床に藁を敷き詰め、テントを張り、簡単だけど、雨も寒さも日差しもへっちゃら、何時も快適な僕らの家。

完成した所に鍋を抱えたケディーと、ビーンがやって来ました。


「おお、立派な家が出来たのう。」

「ビーンさん。上がって下さい。」

「おお、助かるよ。直ぐ息が上がっちまって、年には勝てんなあ。さて、飯にしようか。」


ケディーは、持ってきた鍋の中身を先程買ってきた食器に移し、皆に振舞います。

「美味しい!ケディー、これ凄く美味いよ!」

「有難う、ビーンさんに教わったのよ。」

「いやいや、儂は殆ど隣に居ただけで、教える事なんか何も無かったよ。」

食事を終えて、ケディーはビーンと話しました。

「ビーンさんは、おいくつ何ですか?」

「もう87歳だよ。」

「若い!そんな年には見えないわ。ご家族は居ないんですか?」

「儂みたいな頑固者は嫌だって、みんな離れてしもたよ。仕事一筋で夜も昼も働いて、家族の為にやって来たが、気付いたらその家族は居なくなっちまった。その仕事もルビーの所為で辞めさせられちまって、今じゃトルコ島で一人暮らしじゃ」

「そう、なんですか。御免なさい。変な事を聞いてしまって。」

「ああ、、、構わんさ、、、ここでの暮らしも悪くは無い、、、君らみたいな、、、新しい人の世話をして、、、」

ビーンはそのまま寝入ってしまいました。

「ビーンさん眠っちゃった。」

「しょうがない人だ、このまま寝かせてあげよう。」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る