ルイ
「これで最後にしよう。」
その夜、ケディーは怪盗モモンガのスーツを着込んでいました。
ミハエルが話していたルビーやルイ、城の様子が気になっていたのです。
「お城に行こう、ルビーとかいう人、ルイがどうしているかを確かめてみよう。」
「今夜は風が強いし、吹き飛ばされないようにしないと、あそこがテラスかしら。」
ケディーはお城の中に入りましたが、広い城内に迷ってしまいました。
「やっぱりお城は広い、何処に行けばいいか分からないわ。、、、いや、何か怒鳴り声がするわ。」
「ルイ!ミハエルを殺しに行きなさい!王子になりたいでしょ!?」
「僕は嫌だ!ミハエルは友達だ!それに母様みたいに、人を殺して王子になんかなりたくない!」
「私に逆らうの!?我が子だからって、手加減すると思った!?私はね、言う事聞かない子は、自分の子供だろうが容赦はしないのさ!誰かこの者を牢へ!」
「、、、は。」
駆け付けた兵士は、渋々といった感じでルイを連れていきます。
あろう事か、ルビーは、自分のお腹を痛めて、産んだ我が子であれ、構わず牢に入れるのです。
ケディーはこんな酷い人間は見た事が無い。と呆然とするのでした。
「ああ、食事は暫くあげなくて良いわ。それとミハエルを探して、見つけ次第殺しなさい。」
「は!?ルビー様いくらなんでもそのような事は!」
「おだまり!私の言う事に逆らう気!?」
「も、申し訳ありません。」
「フン、碌な奴居ないわね。」
ミハエルも此処に居たら殺される。何時までも変装で誤魔化せないわ。
ケディーは不思議な力で壁に穴を開け、その場から、立ち去ってゆきました。
ケディーは急いで着替えて、ミハエルの元へと急げました。
「ミハエ、マイケル逃げて、ルビーが貴方の命を狙ってるの!ルイって子も牢に入れられたわ!」
ケディーは慌てる余り、思わずミハエルの本名を言ってしまう所でした。
「何だって、ルイが!?どうしてそんな事が分かるの?」
「ええと、それは、、、」
「、、、やっぱり君が怪盗モモンガなんだね?以前から何となく分かっていたよ。
伝えてくれて有難うケディー。でも僕はルイを助けないと。」
ミハエルはそう言って飛び出して行ってしまいました。
「ミハエル、待って!」
ケディーは今度こそミハエルの名前を言ってしまいましたが、ミハエルの姿は小さくなっていくのでした。
ミハエルは、城を抜け出す時にも使った、父親と自分しか知らない裏道から、静かに潜り込みました。
そしてルイが掴まっている牢へとやって来ました。
「ルイ、私だ!ミハエルだ!」
「ミハエル駄目だ!これは罠だ!来てはいけない!」
たちまちミハエルは、待ち構えていた兵士達に捕らえられ、そのままルイとは通路を挟み向かい側の牢へと入れられました。
二人は通路を挟み言葉を交わしました。
「くそっ、すまないルイ、君を助けようと思ったのに。」
「案外無鉄砲な所があるものな、君は。ルビーは君を抱き込むが出来ないと分かると、前国王の血を引く君を殺してしまおうと思ったらしい。僕に何かあればどこかから聞きつけて助けに来るだろうとね。」
「そうだったのか、、、」
「君が居る牢、そこに君の母君が居たんだ。」
「、、、ああ、そうか、、、母上、辛かっただろうな、、、」
「済まない、僕の母上が、、、」
「君のせいじゃないさ。」
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