神父と警部

ミハエルがブルースグレイの店に勤め始めて数日、ケディーは訪ねてみる事にしました。

「ブルースさん、今日は、ミハエル居ます?」

「やあ、ケディーじゃないか。美人になったね。今、配達に行ってもらっているよ。

君達知り合いなのかい?線の細いタイプだから心配したけど、よくやってくれて助かっているよ。」


ケディーは安心して家に戻りました。

自宅を戻ると神父が待っていました。

「おかえり、お邪魔しているよ、ケディー遅かったね?何か良い事でもあったかい?」

「別に何も、、、」

ケディーは、顔が熱くなっていて、胸がドキドキして、抑えきれなくて、神父はただ、笑っているだけでした。


ハミルトン警部が来た事を神父に話すると、フィリップ神父は、

「それは良くないな、君もシスターの服を着て身を隠すんだ。お金は充分あるから心配いらない。」

「両親を亡くして9歳から、我が子のように接してきたつもりだ。いや、これからも私を本当の父親だと思ってくれて良い。

君ももう17歳だ。自分の幸せを掴んでほしい。」

「神父様有難うございます。」

ケディーは、感謝の涙を流すのでした。


そこへハミルトン警部が訪ねてきました。

「私に任せておきなさい。」

神父はそう言って、ケディーを奥へと促しました。

「度々済みませんね、いやはや、良いお家ですな。子供の家の方も沢山お預かりになって、なかなかできる事ではないですよ。いやはや、恐れ入りました。」

「ケディーの家に何の御用ですか?」

「いやね、この辺に怪盗モモンガを見たという証言がありまして、と言っても幼い子供達の言う事ですから、余りあてにはなりませんが、、、。」

「怪盗モモンガが近くに住んでいるのなら、子供の家にも恵んで欲しいものです。教会の援助だけでは苦しくて。」

ハミルトン警部は、

「そうですか。いやいや、尊敬される職業に就きたいですよ。因果な商売ですよ。人を疑う事しかできないんですから。」

神父は、フゥーと溜息をつき、

「コーヒーでもいかがですか?」

「あっこれは、すみません。有難いですな。」

「いえいえ警部さん、お互いしんどい仕事する者同士、一息入れても良いでしょう。」

二人は世間話をし、警部は気持ち良く帰って行きました。


ケディーが帰ってきて、

「しつこそうな人ね。」

神父は、

「私に任せておきなさい、警部さんも寂しいんだよ。」

「神父様、私を捕まえようとする人に優しくしろとでもおっしゃるんですか?」

「そうは言っていないよ。まあ彼の事は私に任せればいいよ。」

負けん気の強いケディーに苦笑しながら神父は答えました。

「ただいま、あら神父様、お寄りになっていらしたんですか?」

「ああ、ハミルトン警部が訪ねてきて、たった今帰った所だよ。

マザーグース、これからもハミルトン警部がちょくちょく此処に寄ると思う。今の所心配ないが、安心はできない。

ケディーの事を頼んだよ。」

「承知しました、ご安心を。」

「ああ、有難う。」

「お疲れですか?ソファーで少しお休みになっては?」

「いや、大丈夫だ。教会に戻るよ。」

神父の後姿をケディーも心配そうに見つめていました。


神父が出て行った後、マザーグースがケディーに言いました。

「ケディーあんまり神父様を困らせないのよ。」

「私は別に困らせてなんか、、、」

「あらあら、この間来たマイケルって子とは、どういう関係なの?」

「、、、あれはただの友達よ。」

と言いながら顔が熱くなり、胸がドキドキして、マザーグースがすかさず、

「今のその状態を恋してると言うんです。」

「違います―恋なんかじゃありません!」

そんなこんなで夜は明けました。

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