ビーン
ミハエルとケディーの二人は辺りを探しましたが、食べられるような物は見つけられませんでした。
「ダメだ、腹ペコで動けない。船頭が言っていたビーンという人を訪ねてみよう。」
ミハエルの提案で川の上流に向かいました。
すると、一軒の小さな家を見付けました。
一人のおじいさんが中から出てきました。
「貴方がビーンさん?」
「いかにもそうじゃが、君達はどなたかの?見ない顔じゃが。」
「昨日ここに着いたんです。船頭が困ったら貴方を訪ねろと。僕はミハエルと言います。」
「私はケディー、食べ物が有ったら分けてほしいんです。何日も食べていなくて、、、」
「そうかそうか、この島には食べられる物が何も無いからな、なら早よ来い。」
ビーンは二人を家の中へ招き入れました。二人共倒れるような勢いで、入って行きました。
「おうおう、仕方がねえな、、、。」
ビーンは、二人にシチューを注いで振舞いました。
「「美味しい!」」
二人はそのシチューの余りの美味しさに、夢中になって食べ始めました。
「そうじゃろそうじゃろ、これでも昔はちょっとは知られた料理人だったのじゃ。城で働いていたこともあるんじゃ。」
「まさか、豆じい、、、!」
ミハエルは呟いて、一瞬しまったという顔をしました。
「おお、知っておるか!君も料理人か何かかの?」
ビーンはミハエルの表情には気が付かず、ミハエルも直ぐに表情を直し、
「いや、そういう訳ではないんですが、貴方は有名でしたしね。」
ケディーは母の見様見真似で料理をしていたので、誰かに習いたいと思い、
「ビーンさん料理人だったんですか?私に料理を教えてくれませんか?」
「おお、構わんよケディーさん。」
「後、食材は何処で手に入ります?この島には何も無いのに、、、」
「ここの隣、そう離れとらん所にガーネット島というのがあっての。そこに市場があって、大抵の物は一通り揃うんじゃ。
それこそボートで行けるから、あんた達も後で行ってみると良い。儂のボートを貸してやろう。波止場に船頭に預けてあるから。」
今度はミハエルがビーンに、
「ビーンさん、大工道具を貸してくれませんか?何時までも厄介になる訳にも行きませんし、雨露をしのげる場所を確保しないと。」
「おお、正面の小屋に置いてある。好きなだけ使うがいい。家の材料もガーネット島で揃うじゃろ。」
二人はまず食材と家を建てる為に必要な物を買いにガーネット島へ行ってみる事にしました。
「
ついでに儂にウイスキーを頼む。新しく来た奴の世話か酒を飲むくらいしかこの島には楽しみが無くてのう。」
「分かりました、ビーンさん。」
二人はガーネット島へ向かう為、波止場へと向かいました。
波止場に向かう途中、ケディーはミハエルにビーンについて尋ねます。
「ビーンさんの事、知っていたの?」
「ああ、といっても僕自身は幼い頃に一度会っただけなんだ。城で料理長をしていた人で、豆じいと呼ばれていた。
料理一筋の頑固者と言われていて、兎に角厳しい人だった。
一度幼い頃に、僕とルイで悪戯しに厨房に入り込んだ事があって、その時に「料理人以外が厨房に入るな!」とひどく叱られたよ。
それ以来怖くて厨房には行かないようにしていた。ルビーが王座に就いてからも暫く居たけど、ルビーの嫌いな物をメニューとして出したってだけの理由で、解雇されたんだ。
どうしているかと思ったんだが、まさかトルコ島に居るとは思わなかった。」
「貴方にもそんな時期があったのね。そんな怖い人だなんて今のビーンさんからは想像できないわ。貴方の事分かったかしら?」
「幼い頃に一度会っただけだしね。僕達をルビーに突き出すような事は無いと思うけど、、、」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます