城にて

その頃、城では、ルビーがミハエルを捕まえる事に躍起になっていました。

城にハミルトン警部が呼びつけられました。

「ミハエルをなんとしても探し出すのだ!」

「陛下、お言葉ですが、何故ここまでして、ミハエル様を、、、?跡継ぎなら、ルイ様がおられるではありませんか!?」

「お黙り!私に逆らうのか!?」

「、、、申し訳ございません。」

「ミハエル達は船に乗ったと聞いておる、だとすれば、行き先はトルコ島のド田舎じゃ!そうであろう?警部殿?」

「は、、、早速出発致します。」


「何なんですか、あの女は!?」

部下は傲慢なルビーに口々に不満を漏らします。

「警部、あの女は全両陛下を殺して女王に収まったと、もっぱらの噂です。そんな奴に従うなんて!」

「ミハエル王子も殺そうとしているんだ!」

「よせお前達、あくまで噂だ。」

警部は部下達を咎めましたが、警部自身、その噂は本当だろうと思っていました。

「警部、本当にミハエル様を捕まえるのですか?怪盗モモンガがミハエル様を連れ出したらしいですが、、、」

「、、、らしいな、まあ怪盗モモンガは捕まえなきゃならんし、一応捜しているそぶりは見せなくてはならん。

トルコ島の連中はルビーも警察も嫌っている、大勢で行っても目立つだけだ。私が行く。」

ルビーが王座に就いた際、反対する人達を弾圧していきました。

ハミルトン警部や警官達はその時に活躍し、ルビーに気に入られてしまいました。

トルコ島の住民達は、その時にダイヤモンドシティーから逃げてきた人々なので、ルビーや警察が大嫌いでした。

「全く、仕事熱心も考え物だな。」

ハミルトン警部は溜息と共に呟くのでした。


警部は、一人トルコ島へ向かいました。

トルコ島行きの船に乗り、トルコ島までもう少しという時に船頭が、

「、、、あんた何の用事でトルコ島へ行くんだ?」

「ああ、ちょっと人探しをしていまして。」

「、、、あんた、警察だろ?」

「え?いやその、私は、、、。」

「見てりゃ何となくわかる、俺はな、カボチャとポリ公は大嫌いなんだよ!」

と、船頭は警部を船から突き落とします。

「何をするんだ!」

警部は抗議の声を上げますが、

「うるせぇ!お前らが俺達にやった事、知らないとは言わせねぇぜ!とっととこの島から出ていきな!」

警部は船頭の睨みつける視線を背に、仕方なくトルコ島の岸まで泳いでいきました。

「まだまだトルコ島の連中の恨みは深いようだ、、、無理もないな。」


警部は、服を脱いで乾かしました。

「後は風次第だな。この姿、ご婦人には見せられんな、、、。」

そこへ島民らしき男性が通りがかりました。

「おや客人かね?海にでも飛び込んだのか?」

「いや、お恥ずかしい所を。」

「何をしに来たんだ?」

「人を探していまして。」

ハミルトン警部のその言葉を聞いた途端、その男性の顔が険しくなります。

「、、、あんた、警官かい。その探し人は何をしたんだ?」

「いやその、捜索願が出てるもんですから、、、。」

「ルビーに言われて捕まえに来たんじゃないのか!?帰れ!警察とは一切関わらない!」

島民はそのまま行ってしまいました。

「今までも警察は嫌われてきたが、これ程酷い所は無かった。聞き込みによる情報は期待できんな。仕方がない、自力で探すか。」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る