トルコ島

「おい起きろ。あんた達何でこんな所に居るんだ?」

二人は、車掌に起こされました。貨物車の荷下ろしをしているようでした。

「あんたら、駆け落ちでもしたのかい?」

「すみません、ここは?」

ミハエルは、車掌に聞きます。

「ここはメノウ岬、終点だよ。」

「周りには誰かいますか?」

「乗客はみんな降りてる、お巡りが居たが帰っちまったよ。今は荷下ろしの作業員と俺とあんた達だけさ。」


二人はトルコ島への船を捜そうとしましたが、ミハエルはケディーの右腕の怪我に気付きました。

「ケディー、その怪我は!?」

「分からない、列車に飛び乗った時だと思うわ。」

「済まない、気付いてやれなくて。とりあえず止血しよう。」

ミハエルは自分の服の袖を千切ってケディーの怪我をした上から巻きます。

「御免なさいミハエル、服が、、、。」

「服ぐらい構わないさ。だけど結構傷が深い、早く治療しないと。」


二人はトルコ島への船を見付け、乗り込みます。

船頭が話しかけ、ミハエルが答えます。

「あんた達、何処から来たんだい?」

「ダイヤモンドシティーからです。」

「ああ、あそこは昔は良かったが、ルビーが女王になってからはな。お連れさん、怪我してるのかい?」

「トルコ島に医者は居ますか?」

「何も無い所だからな。医者は居ないが、あんた野草の知識はあるかい?薬草が島中に生えてる。」

「本当ですか!やったよケディー、何とかなりそうだ。」

「ええ、有難う。」


ケディーは船に乗りのは初めてでした。沈まないのかな?見る物全てが初めてでした。

暫く景色を楽しんでいましたが、やがて気分が悪くなり、景色どころではなくなってしまいました。

「ケディー、どうしたんだ?」

「どうした、お連れさん、船酔いでもしたのか?」

ミハエルも船頭も心配しています。

「ちょっと、、、気分が悪いの、、、。」

「、、、これは、凄い熱だ、、、!」

「待ってろ、もう少しで着くぞ。」


間も無く船はトルコ島に着きました。様々な木々の森、ダイヤモンドシティーに無い竹林も見えました。

「そら、着いたぞ。真っ直ぐ行くと小川がある、その辺りに薬草も有る筈だ。」

「有難う。」

「何か有ったら、ビーンって爺さんを訪ねな。世話好きだから力になってくれるだろうよ。川を上がってったとこに居る。」

ミハエルはケディーを抱き上げ、船頭が言った小川に向かいました。

ケディーは熱でうなされ、意識が朦朧としているようでした。

ミハエルは、小川でハンカチを濡らしてケディーに額に当て、薬草を石で砕いて、ケディーの傷口に当て、上から布で縛りました。

ケディーに膝枕をし、そのまま眠りました。夜が明ける頃、ケディーが目を覚ましました。

「ミハエル、ここは?」

「ケディー、起きたかい?ここはトルコ島だよ。、、、熱は下がったようだ、良かった。」

「有難う。心配かけてごめんなさい。」

「何言っているんだ。これからは、こうやって二人で生きていくんだ。」

「傷を手当てしよう、、、良かった、化膿はしていない。」

ミハエルは、ケディーの傷口の手当てをしました。


すっかり気分が良くなったケディー、二人は辺りを探索してみました。

「この筒みたいな植物は何なの?」

「これは竹さ、とても成長が早いんだ。多分この辺りではトルコ島にしか無いんじゃないかな。」

「ケディー、おいで。」

ミハエルは木に絡まるツタの前で止まりました。

ミハエルがツタを石で切りつけると、中から水が溢れ出ました。

「凄い!」

「さあ、飲んでみてごらん。」

「、、、美味しい!」

「、、、それにしても、食べられそうなものが何も無いな、、、」

「そう言えば、ダイヤモンドシティーを飛び出してから、何も食べてないわ、、、」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る