怪盗モモンガ

「ママの匂い、パパの匂い。」

二人の寝室に入り、泣きながら、何時の間にか眠ってしまいました。

その年、ケディーは9歳になりました。

大きな黒い布とスパッツ、ゴーグルを買いました。

家族で撮った写真と十字架と葡萄酒を置きお祈りをして、原っぱに向かいました。

そして、両手を大きく広げ、風の来るのを待ちました。

風はケディーのを空高く舞い上がらせて、「飛んだ!飛んだ!」

「エーイ」

気を張って、力を出し、気流に乗りました。

「右に行け!左に行け!」

段々コツを覚えてきたケディーは、マントを鞄に入れ、スパッツの上からドレスを着て家路につきました。


ケディーは畑に行って、野菜を取って来ては、食事の支度をし、お祈りをするのでした。

「パパ、ママ、今日はお空を飛んだよ。」

それ以来ケディーは、夜の街を飛び回っては民家を除き、自分より貧しい子供たちが沢山居るのを知るのでした。

病気の老人に、幼い子供達や子供から、お金を取り上げては、お酒に使い込む父親。

子供を泣く泣く里子に出す母親。

まともに生活をしているのが、少ない事に驚きました。

ケディーは涙を流しながら、両親や神父様に感謝するのでした。

「私にできる事は、何だろう?」

裸足でボロボロの服を着た子供。死んでいく子供達もいます。

それなのに、誰も助けようとしない。

空から見る光の景色は、自分より貧しい者は居ないだろうと思っていた。

大きなお屋敷を覗いてみたら、食卓にご馳走とワインを飲んでいました。

こんなにお金が有るのなら、貧しい人達に分けてあげればいいのに!

「明日の夜から、あの屋敷から、お金を取ってあげるわ!」

―ケディーは9歳の決心をする―


翌朝、ケディーは、ミサに行きました。

神父様が声を掛けました。

「元気そうで安心したよ。もう大丈夫そうだね。

親や子供を失くしてる人は沢山居る。真面目に生きてさえいれば、必ず幸せはやってくる。」

ケディーは夜が来るのが、待ち遠しくてなりませんでした。

夕食を済ませると、両親と神様にお祈りをして、

「いよいよ、出発だわ。」

明々と電気が点いている窓が開いていたので、そこから忍び込み、奥の部屋へと向かいました。

すると、そこにお金の束がありました。


頂き!貴方のお宝、頂戴しました。

          怪盗モモンガ


と書いたカードを置いていきました。

「大空を飛んでいると、気持ちいいな。嫌な事みんな忘れられる。

パパやママも、近くに感じられる。さて、何処に投げ込もうかな。

ある民家の老人が病気で寝込んでいる。小さな子供達も居る。ここにしよう。」

ケディーは、その家の窓から、お金を投げ込みました。

「お爺ちゃんすごいお金が飛び込んできたよ。これでお医者さんが呼べるね。」

「ああ有難や、何処のお方か知りませんが、有難く使わせて貰います。」

ケディーも涙が出ました。

お医者さんが来てくれましたが、診療を終えた後、

「このお金はどうしました?」

子供達は無邪気に答えました。

「貰ったの!怪盗モモンガ様が!」

「これは盗んだお金じゃないのか!?」

「モモンガの姿を見たかい?」

「ううん、窓から投げ込まれたから、、、」

「お薬は置いて置くから、栄養のある物を食べて、薬を飲めば、直ぐ良くなるから。」

翌朝、警察がやってきました。

「私はマーク・ハミルトンと言います。お金が投げ込まれたそうですが、何処からどの様に?」

「この窓から、バサッと」

「姿は?男か女かは?」

少女は、怖くなりました。

「もうお金は残ってないよ。」

「これは立派な犯罪ですよ!」

「お爺ちゃんを責めないで!お爺ちゃん体が悪いのに死んじゃう!」

「今度からはちゃんと届け出て下さいよ。」

と言いながらハミルトン警部と刑事は、家を後にした。

ケディーは、私のせいで悪い事しちゃったな、、、どうすれば、貧しい者を助えるのか、

ケディーは神父様に相談してみようと思い、その後、家路に着きました。

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