母との別れ
ミサに行って、マロニーが願うのは、ロバートの無事ばかり。
「マロニー大丈夫だよ。知らせの無いのは無事な証拠だ。」
「今日はね、畑の草むしりしたよ。」
「おりこうさんだね。」
と言うと飴を貰った。ケディーはお礼を言って二人で帰って行きました。
その日の午後、神父が訪ねてきました。
「神父様!」
「食べ物を、今はしっかり食べないとね。」
「わあー美味しそう」
「久しぶりの、ご馳走です。」
神父は、沢山の肉と野菜を持って来てくれました。
「有難うございます。」
「今日はケディーの誕生日だろう?僕も参加させてもらうよ。」
「ケディー、君は今いくつになったんだい?」
「5歳!」
マロニーは、ロバートがこのまま帰らないんじゃないかと,、、、ケディーの誕生日も忘れるなんてどうかしているわね。
月日は流れ8歳になった。
ケディーは、自分の誕生日を自分で祝って帰りました。
「ママ、ただいま。野菜沢山売れたから、魚買ってきたよ。」
「有難う。」
「今日は気分が良いから手伝うわ。」
ベッドから降りようとした瞬間、ふらついて落ちかけてしまう。
「ママは静かに、ベッドの中!夕飯の支度してくるから。」
魚の骨抜きをして野菜と魚のスープで、パンと。
「出来たよー。温かいうちに召し上がれ。」
「有難う。美味しそう。」
「はい、ママ、アーン。」
「美味しい、、、」
「お誕生日、おめでとう。」
ケディーは嬉しくて、涙が出ました。
ケーキもプレゼントも無いけれど、覚えててくれただけで、嬉しかった。
「うん、有難う。」
「ねえ、ケディー。ママが死んでも、強く逞しく生きてね。」
「何言ってるの!生きなきゃ!」
「私、ママが生きているだけで励みになるんだから!」
「死んじゃ!嫌だよ!絶対!」
「ママ、夕日が差し込んでる。」
「う、、、ん眩しいわね」
そう言うとマロニーは眠りについた。
食事の量も減って、お茶もあまり飲まないし、起きてる時間も少なくなってきたように思える。
料理もママの見様見真似だもんね。
もっと、料理教えてもらえば良かったな。
夕暮れが、またやってくる。
子供が、何も知らずに、大きな声で遊んでいる。
ケディーは嫌な予感がしました。死んだの!?
涙がこぼれて、眠ってるだけだよね、って言いながら、あふれる涙、拭う事も無く、、、
そこへ神父がやってきました。
「間に合わなかったか。何もできなくて、すまない。」
「有難うございます、神父様。」
「生前、葡萄酒が好きで、、、」
「ロバートと三人で飲み比べて、」
「マロニーは、強かったな。」
「ケディー、葡萄酒を」
「はい」
神父はグラスに葡萄酒を注ぎ、マロニーの傍らに置きました。
「ママ、美味しい、、、?」
「ああ、美味しいって言っているよ。」
「私が、もっとしっかりしていれば、、、う、、、う、、、」
「君はよくやったよ。安らかな顔じゃないか。」
ケディーは泣きながら、気が付いたら、森の奥の原っぱに来ていました。
そして、モモンガの事を思い出し、泣きながらモモンガを見ていました。
翌朝、葬儀が開かれ、神父様が、
「マロニーは君が居てくれて幸福だった。」
「これからは自分の人生を歩くんだ。」
葬儀に来てくれた人達も、
「よく頑張ったねケディー、見送ってあげようね。」
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