概要
その相方の苦悩と愛の十五年の話
・矢吹真太郎:ツッコミ、お滑り担当
・小松七緒:ボケ、ネタ作り担当
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!夫婦よりも濃く恋人よりも熱い関係
語り手、矢吹の独白から始まる物語。
初めから結末は見えていた。
しかし、最後までスクロールする手を止めることが出来ませんでした。走馬灯のように駆け抜けてゆく二人の出会いと別れ。そのスピード感にほとばしる青春の味が随所から染み出てくるのです。
軽快な語り口調とは裏腹に、残酷な現実を生きる二人。
しかし、それが良いのです。
なんやろうなあ、線香花火を見つめているような気持ちになりました。
確かにそこに愛はあった。
そして、七緒は最後までミステリアスで良い意味でずるい男だった。
惚れた腫れた
切った張った
任侠の世界も漫才の世界も、そして二人の世界も。世間から見れば、全てがパルプフ…続きを読む - ★★★ Excellent!!!彼らにとってはきっと、かけがえのない年月だ
テレビで見る漫才や芸人さんというのは、明るくて笑いをもたらしてくれる。けれどその裏側は決して華々しいとはいえない部分もあるのだろう。
どこか薄暗く湿った雰囲気漂う中で、彼らの15年間を共に振り返る。散々な家庭環境とそれまでの人生。出会ったお笑い、そして養成所での出会い。
現実というものは残酷なのかもしれない。光に焦がれて夢を追い、けれどそれは才能や機会のなさに押しつぶされる。
二人の間にあったものは何なのだろう。それは愛と名付けるにも、それでは不足してしまうような気がした。
結末はどうなるのだろうと、ハラハラしながら拝読した。この後に差し伸べられる手があればいいのにと思う反面、ないのが現実の…続きを読む - ★★★ Excellent!!!切なさという言葉では足りない読了後の虚無感
親に苦労させられた二人はお笑い芸人の養成所で出会った。振り返ると散々な15年間だったかもしれない。才能に淘汰され、チャンスは平等ではなく、現実は残酷で。それでも満身創痍な死の間際に浮かぶのは相方の顔。二人は確かにコンビだった。
人を笑顔にさせるお笑い芸人の下積み時代を描く本作。都合の良い展開も奇跡もない。ただあるのはヤニ臭いリアルさと、恋とも愛とも言えない純な何か。それでも、何かに憧れて躍起になる姿は見ていて輝かしい。例えどんなに日の当たらない場所にいようとも。
湿気多めな彼らの世界に千両が舞ってほしかったと心から思います。切なさという言葉では足りない読了後の虚無感。もう少し、噛み締めて…続きを読む - ★★★ Excellent!!!漫才というカラっと明るい世界に確かに存在する湿っぽい世界が胸を打つ
お仕事ものの物語で漫才を題材にしたものに初めて触れました。
明るい世界、笑いの中にある世界、そんなものを想像する裏で、実はこんな湿った世界があり、そこで「生きる」運命共同体があるのだと感じました。
お互いが拠り所であり、支えであり、運命の分かち人であるコンビはどちらかが倒れてしまえば共倒れです。
それを分かり、背負い、それでもまだ、まだまだ、これからと奮闘する姿は切なく明るい。
冒頭からどっちに転ぶの?そう祈り願いながら読み進めるストーリーにハラハラとしました。
カラっと晴れた世界にある湿った世界をぜひ知って思いを馳せてほしい、そんな物語です!
できればサイドストーリーが欲しいです!…続きを読む