誰しもがぶつかる問いじゃないでしょうか。「友情って難しい」生涯支え合える友情を育むことは可能です。けれども、その一方で友達がライバルになったり、急に疎遠になったり。「え? なんかした? 私が悪い?」なんて思うことって、一度や二度はありますよね。そんな複雑な友情をテーマに描かれている私小説です。友情って複雑なんですよね。社会で生きていれば、誰しもが経験することなのではないかと思います。
友達の皮を被る敵の怖さ。そのじりじりと滲みよる黒い怖さに、少し立ち寄ってみませんか?少しだけ。そう、少しだけ。周りの誰かに、もしかしたら違和感をもってしまうかも?そんなお話。是非に(●´ϖ`●)
人間の心の奥なんて、見えるはずがない。だから信じていこうって思うんですけど。たまにね、本当に人を利用すること、だますこと、あやつる人が出てきます。一見、感じのいいひと。やさしくて、明るいひと。それが、振りかえればジワリと来るような甘い毒を発していることがあるんです。騙された自分が愚かと、思わないほうがいいでしょう。その甘い毒には、天使すら騙されるんです。
最近できたような言葉ですが振り返れば自分の周りや自分の人生の中でいたな、と思い返すと該当することが。ひやっとしつつもとにかく凄まじいテンポで描かれており引き込まれました。幸せであれ、と願っております。
フレネミーがどういう意味かについては、プロローグに書いてあるのですが、「友を装う敵」だそうです。いくら仲の良い友達でも、なにを考えているか。どう思っているか。話していることは本音なのか建前なのか。分からないものです。微笑も、本物なのか作られたものなのか、分からない。この作品に出てくる絵美ちゃんの気持ちを読者は想像するしかないのだけれど、仲が良いからこそ、友達の幸せを純粋に喜び、苦しみを共感するのが難しかったのかもしれません。自分の心に渦巻く闇に蓋をしたのが、微笑だったのではないかという気がしました。
このレビューは小説のネタバレを含みます。全文を読む(244文字)
微笑。それは優美であり、慎ましさの象徴でもあります。しかし、親しみを感じさせる微笑に悪意がにじんでいたとしたら。作者さまとそのお友達との出会い、フレネミーに至るまでの過程に共感しながら読みました。本当の友達とは何か、友情に亀裂が走ったときはどうすればいいのか。大人にこそ読んでいただきたい一作です。
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