3.大人になった私達は

 高校を卒業し、絵美は大学へ、私は専門学校へと進学した。一年も経たない頃に、絵美から衝撃的な告白をされた。


「私、大学を辞めたの。これからは働いて、好きな事をして生きるわ」

「そう、あんなに頑張って入った大学だったのに、もったいないわね……」


 絵美は、大学を早々に辞め、日本各地を転々として過ごすフリーターになった。私は、専門学校で青春を謳歌中で、いつの間にか藤田との関係は途絶えていた。


「藤田さん、今頃どうしているかしらね? もう大学四回生よね。就職の時期だわ……」

「さぁね、私の気にした事ではないわ。別れた男の事なんて、知らないわよ」


 私のささいな言動が、絵美の中に黒いおりを貯めて行っていたに違いない。年を重ね、人生経験を積んだ今なら分かる。私は何て幼稚でもの知らずな子供だったのだろう。

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