1.絵美との出会い

 絵美と初めて出会ったのは、高校の入学式での事だった。中高一貫の私立の女子校に高校から入学した私は、もうすでに出来上がっているグループを目の当たりにし、軽いショックを受けていた。


「(大丈夫かな。この学校に馴染めるのかな)」


 前に座っていたショートカットの女子が、ふと振り返りこう声を掛けてきた。


「初めまして。あなたも高校から入学の人? 私、絵美っていうの。このクラス、何だかもうグループが出来上がっているみたいで……。あなたもさっきから誰とも話さないから、私と同じ高校からの入学かなって。ぜひ友達になりましょう。よろしくね! で、名前はなんていうの?」


 屈託の無い笑顔に、人懐っこいキャラクター。そんな第一印象を受けた。一学年六クラスの内、高校から入学した者は二十人しかいなかった。マイノリティーはマイノリティーなりに固まるというものだ。私と絵美は、すぐに打ち解けて親友のような状態になった。


 絵美とは、部活こそ別々だったが、日中や昼休みはほぼ一緒に過ごした。他のクラスメートとも一緒にいたが、私達の仲は特別だったように思う。


 私達は、休日も良く一緒に遊びに行った。美術館、映画、ライブ……。そして、共通のあの趣味の集まり。それこそ私と絵美を強く結びつけるものだったのだ。

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