重ならないはずのものが重なった瞬間の苦しさを

10月に大地から独り出てきた蝉と、コロナ禍で高校生活らしい何もかもが奪われてしまった女子高生のお話です。

美しい情景描写と、根底に走るノスタルジックな思いと切なさ。
重なるはずの無かった二つの軸が、教師のふとした一言で繋がり、感受性の豊かな女子高生の考えと共に読者の共感を呼ぶその構成はまさしく圧巻の一言です。
苦しい答えに辿り着いてしまった女子高生と、それでも違う視点から新たな答えを提示してくれた友人の存在とその奇跡が、何よりの救いになっているように思えました。

最後の一文まで味わい深い、そんな作品です。是非ご一読頂きたいです。

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