まずこのお話の特徴として、キャラがそれぞれ立っている点であります。
それぞれ特別な能力を扱うことができ、それを活かした戦闘や諜報で活躍するのです。
どのような能力が登場するのかどんな風に戦うのか、毎回手に汗握りながら展開は進みます。
そのような彼ら彼女らには、当然背負った過去が存在します。軽く受け止められるものではありませんが、だからこそ物語に重みがあるのです。重い作品をお求めの方はもうこの時点でおすすめです。
しかし、しかしですよ。どのキャラもそれぞれ思いを抱いて生きているにも関わらず、その重さは主人公である神代美幸君には敵わないんですよ。
彼は最強なんです。背負った過去も秘めている思いも、そしてその能力すらも。
故にこれだけキャラの立った登場人物が多いにも関わらず、彼の存在が霞むことはない。まさに絶対なる存在なのです。
とはいえ彼は最強だが万能ではない。彼は最強故に思い悩むのです。友人を、幼馴染を、家族を、同僚を、自分が抱えてしまった運命に巻き込みたくないと。だが彼を取り巻く人々は、いいぜどんとこいと堂々と巻き込まれにいく。
その時起こる感情の摩擦こそが、人の心に届き時には揺り動かす、物語というものの本質。
それを存分に堪能したい方は、ぜひともこの作品はいかがでしょうか。
まずはプロフィールをご覧いただきたい。その上でまずは一話、読み始めて頂きたい。
きっと私が思った感想と同じ物を抱くだろう。「こ、このお若さでめっちゃ巧くね……!?」と。
こちらの作品は、カテゴライズで言うと現代ファンタジーに属するものだ。異能の力を持つ者と持たざる者がいる世界で、舞台は日本の東京ではじまる。
異能の力にも格があって、SSSランクが一番の中主人公はFランクと称されているが、タイトル通りの強者だ。高ランクの敵達がバッタバッタと倒されていく様は、少年漫画の王道を貫き読者に十分なカタルシスを齎してくれる。
主人公である神代御幸の性格は、冷静沈着。けれど少し押しに弱い所もあり、情も深く面倒見がいい。慕う者も好意を寄せる者も期待を寄せる者も多く、はじめの時点ですでに出来上がりつつある関係性を俯瞰して見ながら、過去もさらっていくような話の構成になっている。
ここで彼がこう思う理由はこんな事があって、といった感じで追体験をして行くような感じだ。
能力についての作り込みも細やかで、作品にちりばめられている伏線の素材を拾い上げつつ設定を深堀して楽しみたい層には、とても刺さる作品のように思う。ちなみに私の推しは白馬さんです。痛い言動をする大人と侮るなかれ! 最新話まで是非読んでくれ!
縁あって私は同作者の別の大作も読んでいたのだが、末恐ろしいなと感じたのはその成長力だ。
明らかに今作は描写力や構成力、筆力が段違いでレベルアップしており、書きたい物に気が急いてよくありがちになってしまう視点のブレも無い。作品だけでなく作者の進化も同時に楽しめる作品というのは、なかなかないのではないだろうか。
これはもう、作品だけでなく作者も丸ごと推していきたい。是非この機会に、まずはこの作品からご一読願いたい。
異能が現れた社会で、主人公に与えられた評価は最底辺のF。しかし、彼こそが知る人ぞ知る世界最強の能力者だと噂される人物だった。
悪意を持って異能を使う悪党から人々を守るため、個性豊かな面々が揃う『異能課』は今日も命がけの任務に挑む──。
三人称で進む物語。まず本作の魅力は、他の方も仰るように丁寧になぞられる王道展開でしょう。設定、キャラクター、ストーリー。そのどれもがまさに王道を行くものです。よって、ファンタジーを読み慣れた方は安心感を持って、そうでない方はファンタジーならではのワクワク感を目一杯に持って、読み進められるのではないでしょうか。
しかも、丁寧な描写と確かな文体で描かれるキャラと物語はレベルが高く、“その他大勢”に埋もれないものであると感じました。
そんな本作のもう1つの魅力は、何と言っても現代的な世界観で描かれる『異能』の存在でしょう。
人類の半分弱が異能と呼ばれる不思議な力を持つ世界。能力はランク付けされ、管理されるようになります。けれども力を手にした人々の一部が悪事を働くようになるわけですね。
そこで登場するのがランク付けでは最下位、しかし、その力は世界最強とも呼ばれる主人公が属する『異能課』です。主人公の能力の正体はストーリーを通してしばらくひた隠しにされるのですが、いかんせんその強者感がすごい。また、作者様の見せ方がうまくて、主人公は能力の全容を明かさないまま、それでもきちんとバトルをする。「主人公はどんな能力なのか」を考えずにはいられません。
そんな主人公は格好良くて、しかし、少し抜けたところもあって憎めない。全体的に少しシリアス寄りな世界観に、ほんの少しのコメディさもあって、程よくホッコリさせてくれます。
能力者たちの性格も能力も千差万別で、新しいキャラが出るたびに「次はどんな能力?」「どんな人なんだろう?」と、まるで宝箱を開けるかのようなワクドキ感があります。
1人1人の描写も丁寧になされているおかげで、それぞれのキャラが引き立ち、モブキャラと呼ばれる存在が居ないようにも感じました。作者様のキャラに対する愛のようなものが感じられるからこそ、新規キャラに期待感を抱けるのかも知れませんね。
そうして愛を持って描かれる厚みのあるキャラクターたちこそが、本作最大の魅力になると私は感じました。
ストーリーで王道を踏襲しながら、それぞれのキャラに焦点を当てて、生き生きと描く。そんな彼ら彼女らが己の異能を使って繰り広げるバトルには感情移入しやすく、やっぱり迫力があって胸が熱くなる。
能力に振り回される者、過去に囚われる者、悪意を持つ者に、人々を守る者…。主要キャラたちに隠された過去も、物語を読み進める手を刺激してきます。
まさに、ファンタジーを堪能しつつ異能によって浮き彫りになる様々な人間模様を堪能できる作品。どんな方にもオススメしたい、現代ファンタジーです!
奇をてらった作品も多い中、ワクワクドキドキしながら主人公たちの活躍を応援する。そんなファンタジーの原点に立ち返ってみるのもどうでしょうか…?
主人公は能力を隠し、組織に所属し、まさに王道であるが、王道とはつまり人をわくわくさせるものでもある。
そして王道の中にあり、この作品は本当にしっかりとした世界や設定、魅力的な人物によって作り上げられている。
またこのスピード感、無駄のなさ、よくもここまでまとめ上げて作品として昇華していると賞賛するばかりである。
主人公のみならず、脇役もまたそこで生きている。決して端役などではなく、彼らにもまたひとつひとつの物語があるのだろう。
異能力バトル、特に少年漫画的な熱さを感じたい方におすすめしたい一作です。
王道はわくわくさせるからこそ王道と呼ばれるのである。
ぜひご一読ください。
この小説は、王道を突き進む小説だ。
能力を隠している主人公、警察のような組織、異能力バトル。王道ファンタジーを書く上で大切な点をしっかり抑えている。
それに加え、作中に登場する「能力者」と呼ばれる、協力、敵対する人物の総数を2500万人(日本)とすることにより、敵の能力レパートリーを増やしたり、色々な人物を登場させやすくしている。
この小説を読んでいる人はどこか「既視感」のようなものを感じるかもしれない。それこそが、この作品の魅力である。
既視感があるからこそ設定を理解でき、簡単に読み進めることが出来る。
この小説を読む方は、既視感を楽しんでみて欲しい。