多彩な能力、背負った過去、秘めた思い。故に物語は面白い。

まずこのお話の特徴として、キャラがそれぞれ立っている点であります。
それぞれ特別な能力を扱うことができ、それを活かした戦闘や諜報で活躍するのです。
どのような能力が登場するのかどんな風に戦うのか、毎回手に汗握りながら展開は進みます。
そのような彼ら彼女らには、当然背負った過去が存在します。軽く受け止められるものではありませんが、だからこそ物語に重みがあるのです。重い作品をお求めの方はもうこの時点でおすすめです。


しかし、しかしですよ。どのキャラもそれぞれ思いを抱いて生きているにも関わらず、その重さは主人公である神代美幸君には敵わないんですよ。
彼は最強なんです。背負った過去も秘めている思いも、そしてその能力すらも。
故にこれだけキャラの立った登場人物が多いにも関わらず、彼の存在が霞むことはない。まさに絶対なる存在なのです。


とはいえ彼は最強だが万能ではない。彼は最強故に思い悩むのです。友人を、幼馴染を、家族を、同僚を、自分が抱えてしまった運命に巻き込みたくないと。だが彼を取り巻く人々は、いいぜどんとこいと堂々と巻き込まれにいく。
その時起こる感情の摩擦こそが、人の心に届き時には揺り動かす、物語というものの本質。
それを存分に堪能したい方は、ぜひともこの作品はいかがでしょうか。

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