それでも確かに光はあるのだと。

カクヨム内をふらついていた時、タイトルに惹かれて何気なく読み始めた作品だったのですが、とにかく、もう、ぐっと胸に来ました。

冥土少年院。その名の通り冥土における少年院――更生施設で、自殺者が「刑期満了」もしくは「釈放」されるまで働き続ける、天国と地獄の境です。
少年院とはありますが、自殺者が入るため成人未満の子供達のみならず大人も入っております。

主人公の優人も同室で知り合った明も、自殺の理由は世にありふれたものでありました。故に諦観し、自ら死を選び、来世に期待していたのです。今の自分では、もう何も変えられないからと。

それでも確かに彼らは、この冥土少年院で変わっていったのです。やりたかった夢もあって、友情を結んだ二人でいつかの未来を願ってしまった。
それ故の切なさややるせなさや愛おしさが、とにかくたまらないのです。

エピローグに至るまで丁寧で、どうにも感情移入して涙ぐんでしまうこの作品に出会る方が増えることを、願ってやみません。
この「冥土少年院」に入る前に、気づけるものがきっとあるはずです。