『落ちこぼれ』と言われていた勇者候補生のエリンスと、『腹ペコ』な実力一位の魔王候補生であるアグルエ。
ふたりが偶然出会い、共に旅をすることになるところから、この物語は始まる。
有り体に言えば「勇者と魔王のボーイミーツガール」だろう。だが、この物語の深みと練り上げられた世界観、そして活き活きと動き回るたくさんの登場人物たちは、語り尽くせないほどの魅力に溢れている。
なぜなら、世界中にある勇者が辿ったとされる『軌跡』を巡ることで出会う、人々や真実、あるいは世界の謎が、全て最高のエンディングへと繋がっているからだ。全部が全部。ひとつも読み零してはならない。
これはもう、読んだ人にしか分からない軌跡。そして奇跡だろう。
ぺこリバの大ファンである私が言えるのは、とにかく『読んでください。』これに尽きる。オススメです!!
第一章読了時までのレビューです。
王道のファンタジー世界観に、独自の設定も織り込まれた、
壮大な物語の開幕でした。
主人公の男の子は落ちこぼれと言われていますが、その真の実力は花開くのか?
たいしてヒロインの女の子には何やら訳があって謎が多くこの先の展開が楽しみになります。
ふとした偶然から出会った二人の物語は実は既に決定されていたのではと思えるほどに運命的で奇跡的な出会いでした。
物語の舞台となる世界の情景や、主人公を取り巻く様々な登場人物も、個性豊かで愛着がわく人たちばかり。
明らかに女性受けしそうな第一位の剣士や、男子の人気を博しそうなシスターなど、ぜひ今後の登場にも期待したいキャラがいっぱいです。
折々に潜ませている様々な謎やエピソードも注目どころ。
とにかく読んでて楽しいと思える作品です!
転生ものから少し離れてみたい方に思い起こしてもらいたい冒険譚が
ここにあります!
丁寧な筆致と優しい人たちが織りなす0~1章は鏡合わせのような構造の中でメインとなる物語が進行し、最後に二人の出会いの場面へ終息するという美しい構図です。
新しい世界を構築した時には、何をどれくらい描写すべきなのかが一番難しい問題かと思いますが、作者は程よいバランスで世界に光を当てます。何らかの真実を孕んだ世界の中で、二人の主人公がそれぞれの思いを抱きながら出会ったのは、確かに運命的なものを感じます。
「優しい人たち」と形容したのは、登場するキャラクターたちがいずれも気持ちのいい人間だからです。これを描くことができるのは作者の人間性によるのかもしれないと感じてしまうほどです。
それゆえに、この作者の描く「悪」がどういうものなのか想像力を掻き立てられますし、それがおそらくはこの物語の根幹となっているのだろうと感じます。
美しい構図を持った1章はそれだけでも完成度が高いなと感じますが、それがまだ序章も序章であることが素敵です。その1章の中で主人公たちに迫る魔の手の存在も明らかになり、ますます先の展開が楽しみになりました。
親友の遺志を継いで勇者候補生になったエリンスは、五つの軌跡をめぐり、世界を救済する勇者になることを目指す。
そんなエリンスがひょんなことから拾ってしまったのは腹ペコの少女、アグルエ。
彼女は魔王の末娘であり、魔王候補生だった。
魔界では魔王の勢力が衰え始め、新しい魔王を選ぶべく、魔王候補生たちが競い合っている最中。
そんな中、アグルエは魔王から『勇者を探す』という使命を負って、人界にやってくる。
二人はパーティを組み、それぞれの目的を果たすために旅を始めるが、アグルエを狙う魔王候補生たちとの争いに巻き込まれていく。
なぜ『魔王』が『勇者』を探すのか?
敵同士ではないのか?
本当の意味で『世界を救済する』とは何なのか?
人界と魔界の関係に隠された真実がストーリーを追うごとに明らかになっていく――。
丁寧に描写されるファンタジー世界、剣と魔法による臨場感あふれるバトル、個性あるキャラたち――
皆様も一緒にこの物語の結末を見てみませんか?
この物語の中核には、「落ちこぼれ」の勇者候補生と、「最強」の魔王候補生、2人の候補生がいる。
彼らは出会い、手を取り、そして旅立つ。
読み進めていればきっとこう思えるはずだ。この2人が2人でいれば、手を繋いでいれば、絶対に成し遂げられないことはない、と。
個人的な感想にはなるが、何よりも手を繋いでいることが似合う2人なのである。
勇者と魔王、この世界においてそれは何を意味するのか。世界には一体何が隠されているのか。
苦しいことも辛いことも楽しいことも分け合って、2人の決して平坦とは言えない旅を共に見守ってみませんか。
彼らの旅の果てに、世界はどんな姿を見せてくれるのだろう。それが楽しみでなりません。
ぜひご一読ください。