概要
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- ★★★ Excellent!!!蝉は、羊雲を見ることができた。
コロナ禍も気づけば今年の12月で3年目になる。つまり、学校生活のほとんどをソーシャルディスタンスを保ちながら過ごしてきた世代がいる。学生に限らず大変な苦労をしてきた人はたくさんいるが、人生の中で一番輝かしくあるべき3年間をマスクで遮られた若い方々の無念は計り知れない。
10月という、夏も終わり秋へと差し掛かる時期に土の中から出て来て独りぼっちで鳴く蝉が、そんな学生たちと重なる。成すべきことを成せず、理想は理想のままで終わってしまう。そんな現実に虚しさを抱いただろう。だけど裏を返せば、そんな時代を過ごした彼らにしか見えない景色もきっとあった。
繊細な情景描写と高い文章力が、土の中で生きて来…続きを読む - ★★★ Excellent!!!かくして彼女の青春が歩き出す
自分がいかに恵まれた時代にいたのか。
某感染症はこうも十代の輝かしい日々をいとも簡単に奪ったのか。
誰が悪いでもない、それでも誰かの所為にしなければ辛い、そんな世の中で。
【蝉】は、主人公を一歩踏み出させるための、象徴だったのではないかと思います。
停滞するうだる夏の暑さが見せた【一匹の蝉】。
その蝉との邂逅はきっと、主人公に伝えたかったのではないだろうか。
「たとえ今が辛い時でも、自分のように、今を後悔のないように生きようよ」と。
他の誰にもできないことを成し遂げた【一匹の蝉】に、その心意気に、感動しました。
前を向きたい方、必見の作品です。
ぜひお手に取って読んでみてください。 - ★★★ Excellent!!!読みやすさの極致ここにあり
レビューを書くために読んだ私はしばらくの間、言葉を奪われました。
なにこれ、すごい。読みやすいすごい。テーマもしっかりしてる。夏から秋に変わる描写がこんなにも文学的でいて嫌味なく表現できるものなの。すごい。秋だけじゃないすごいところが多すぎてまとまらない。
こんな状態になりました。書き手の皆さんはは絶対に読むべきです。
上手くまとめて表現できないので最初に言います。完成度がものすごく高いです。
今を捉える作者の観察力、精選された言葉と文章の運び方が合わさって、感性鋭く、今を生きる高校生の生活が描かれています。これだけでもすごい。
けれど、凄いところはまだまだあります。季節外…続きを読む