第12話 ご機嫌ですね

次の日、祈はなぜか俺を避けるようになった。朝は先に登校してたし昼も一人でどこかに行ってしまった。

俺は理由がわからないので一生頭を抱えていた。

絶対俺がなんかしたのは間違いないけどほんとに心当たりないのが悩みどころだよなあ・・・うーん、わからん!謎!


「金剛くん、勉強会行くわよ」


「え?ああ、行こうか」


あれ?普通に話しかけてきた?機嫌直してくれたのかな・・・って怖!?まるでゴミを見る目だ。圧がとんでもない、押しつぶされるぅ・・・


「と、図書室集合だったな!着いてきてくれ!」


「はぁー」


なんだよ!こええよ!後ろから刺されてもおかしくないレベルの殺意が溢れてるって!


俺は早く着いてくれと若干の早足で図書室に向かった。


ーーーーーーー


「なんでまだ二人ともきてねえんだ・・・!」


永遠に気まずいじゃねえか


「なら先に始めておきましょう」


まあウダウダいっても仕方ないか


「そうだな、何やりたい?」


「苦手と言える科目はないけれど世界史は習ってなかったから押さえておきたいわ」


「おっ、ちょうどいいな!俺も昨日ある程度やったから復習がてら教えられるぞ」


「あら、そうなの?ならよろしくお願いするわ、先生」


「やめろなんか嫌だわその呼び方」


しばらく2人で教科書通りに進めていく。さすが元学年一位の頭脳、覚えが圧倒的に早い。俺の何倍だ?って感じ。


「あれ、もう始めてたか。悪い当真遅れた・・・って祈!?」


「ここは図書室よ、大声はやめて。それと初対面の人に大仰に呼ばれる覚えもないわ」


「それはすまん謝る、悪かった。当真のダチの坂本隼人だ。よろしくな」


「あら、誰かさんとは違って礼儀正しいわね。祈舞衣よ、よろしく坂本くん」


「当真、ちょっとこい」


「なんだ?」


隼人に連れられ入口の方まで移動する。


「(なんで祈がいるんだよ!転校したんじゃなかったのか?)」


「(それが一昨日急に転校生として帰ってきてさ、俺が一番驚いたよ)」


「(そうなのか・・・色々急で頭が追いつかないけど、まあ良かったじゃんまた会えて)」


「いいやつかよ」


「そりゃそうだろ」


「二人とも?入り口でヒソヒソ何話してるの?」


「お、玲音じゃん。お前もきっとびっくりするぞ」


「どういうこと?」


「入ればわかるさ」


ーーーーーー


「戻ったぞ」


「おかえりなさい」


「えぇ!?舞衣ちゃん!?」


「あなたも失礼な上に馴れ馴れしいわね。ということは、そう、あなたが・・・・・・」


「ひぃ!?なに!?急に悪寒が・・・」


「おい玲音、大丈夫か?」


「大丈夫じゃない!怖!」


「しょ、紹介するよ。こいつは波野玲音、ここにいる隼人の彼女で俺の二人しかいない友達の二人目だ」


「よ、よろしくね?舞衣ちゃん」


「・・・・・・・・・よろしくね。知り合えて嬉しいわ♪」


「へあっ!?こ、こちらこそ光栄であります」


おい、なんか急に機嫌良くなったぞ。こいつは二重人格か何かなのか?謎が謎を呼びやがるぜ


「じゃあ揃ったし続きやるか、今俺と祈は世界史やってるけど各々好きな教科やっていいからな。多分教えれるから」


「よっ!さすが文武両道筋肉!」


「辞書の角でしばくぞ」


「しんじゃうよ!」


「金剛くん、ここの陶片追放?の読み方なんだったか教えて」


「オストラキスモスだな。絶対出るから忘れず覚えとくと安心だ」


「当真、この教科書の文全部和訳してくれ」


「自分で調べてやれよできるだろ。授業のメモ見せてやるから参考にしろ」


「さっすがー!あざす!」


「舞衣ちゃん!このイデオロギー?ってなに?」


「物事に関して社会的な立場から構築された考え、思想のことよ。例を挙げるなら資本主義や民主主義もイデオロギーの一つね。〜主義は大体イデオロギーと言われるものよ」


「さっぱりわかんないけどさんくす!」


なんか学生っぽくていいな、こういうの


「あなたもわからないことがあったら遠慮なく聞いていいのよ?」


「ああ、ありがとう。ところでさっきと変わって随分ご機嫌だな」


「私は常に楽しみながら生きているもの。機嫌を悪くするなんてありえないわよ」


嘘つけ俺の心が泣きそうになってたのが証拠だわ。

相変わらず何考えてるか全然わからん

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