第19話 偶然ですねお二人さん
翌日、俺は祈に対するプレゼントを買いに行くために大型ショッピングモールに来ていた。ここなら専門店もたくさんあるし選択肢も増えるから値段は安いかもしれないが得策だろう。
まずは昨日から決めていたクリップやシュシュを扱っている店に行こう。
・・・うーむ・・・・・祈のことを想像しながら選んでいるがどうしても何か一つ足りないと思う部分がどの商品にもあるんだよなあー・・・
別の店に行くか。
モール内を散策していると見知った顔を見つけた。
「あれ?隼人と玲音じゃん、どうしたのこんなとこで。あ、デートか。お熱い時に失礼したな」
「おい待てこら、茶化して帰んじゃねえぞインテリ筋肉」
「あれー?とーまじゃん!そうだよー!ずっとテスト勉強でイチャイチャが足りなかったからデートしてるんだー!」
「恥ずいから馬鹿正直に言わんでいい」
「いいね、その素直さが俺は羨ましいよ・・・」
「舞衣ちゃんもだいぶ素直な方だと思うけどなー」
「確かにあの厳しさと無表情は逆に素直かもな」
「なんか違うけどそれはそうかも、感情出やすい方だと思うよ舞衣ちゃん」
「俺は玲音しか見てないから興味ない」
「見てたら殺す」
「こええよ!なんだよお前急に物騒すぎるだろ!」
「そんなことよりおすすめのアクセサリー専門店ないか?できれば髪飾りとかがいい」
「脅した奴が話題を一秒で変えるんじゃねえ」
「え、なになにとーま舞衣ちゃんに何かプレゼントでもするの?めっちゃ気になります!私事情をお伺いしたいです!」
「まあそれは俺も純粋に気になる」
「何もないよ、ただテストで勝負してお互い全部100点だったからプレゼント交換するかって流れになって。本当は勝った方が負けた人に好きなもの買ってあげる罰ゲームのはずだったんだけどもっと難易度高くなっちまった」
「お前さらっと言ってるけど二人ともオール100なの普通にバケモンだからな?意味わかんねえから」
「照れるじゃねえかやめてくれよ」
「照れんなきめえな」
「すっごいねとーまも舞衣ちゃんも!私なんて全部50点だったよ!」
「逆にすげえなそれ」
「俺もそう思うわ。わざと調整してんじゃないかって思うもんな」
「そんなの出来たら素直に100点とってるでしょ!これは実力だよ!」
「「才能だよ」」
「それで?何で髪飾りを?」
「俺が選んだやつずっとつけてくれたら嬉しいから」
「お前独占欲絶対強いぞ」
「隼人とおそろの性格だね!」
「やめろ俺が束縛強いみたいなの」
「事実でしょ、否定しなくてもみんなわかってるって」
「嘘だろ・・・」
あ、固まって動かなくなった。
「髪飾りならここから真っ直ぐいって突き当たりの帽子屋の左のお店がおすすめだよ!デザインも可愛いい値段もいい感じだから私もよく利用してるんだー!」
「そうなのか、ありがとう行ってみるよ」
「はーい!じゃあねー!」
「ああ、またな!」
こうして俺は玲音一押しの店に行くことになった。
店に入ると高そうな髪留めのアクセの他にもさまざまなアクセが展示されている。俺は祈に合う髪飾りを血眼で探すことにした。
あ、これだ。
探し始めて二分ちょっと。俺はついに祈とベストマッチな髪飾りを見つけた。想像しただけでにやけが止まらなくなる。
赤を基調とした宝石に青色のアクセントカラーが綺麗な白い髪飾りを購入した。なかなか値段は張ったが安いものだ。
一応ラインで言っておくか。
『プレゼント買ったぞ、結構喜んでもらえると思う』
『(空気が横切るスタンプ)」
どう言う意図かわからねえ・・・!
そんなこんなで目的を果たして偶然の出会いもあった休日だった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます