第7話 人生のどん底にいます

さらに5日が経って最初に助けた日からもうすぐ二週間が経とうとしていた。朝いつも通り祈を待っているがなかなかこない。

・・・たまには俺からあっちの家に行ってみるか。


ピンポーン


ガチャ


「おはよういの・・り・・?」


「・・・何の用?」


なんかこいつ目腫れてね?鼻赤くね?てか、泣いてね?


「ど、どうした!?なんかあったのか!?」


「なにもないわよバカ・・・」


「いや嘘つけよ、明らかになんかあったやつの顔だろ。俺でよければ相談に乗るぞ?」


「付き人風情が生意気よ・・・」


「そうツンツンしないで、悪いものは吐き出さないと良くならないぞ」


「・・・歩きながら話しましょ」


ーーーーーーーー


「実は親が転勤するから引っ越すことになって、帰ってこれるかもわからないって」


「引越し!?そんな・・・突然すぎないか?そういうのってもっと早くに通達されるものだと思ってた。引越しか・・・」


「親がお母さん一人だからついていくしかなくて・・・嫌だわ私、こんな突然自分の居場所を壊されるの」


「クソッ!それ学校には言ってるのか?」


「昨日伝えたみたい。出発は明後日だそうよ」


「転校先も決まってるのか!?」


「突貫で手続きを終わらせたみたい。私が学年一位の成績だからか知らないけど編入試験も受けなくていいって」


なんてこった・・・


「じゃあその体質はどうするんだよ!誰が祈を守ればいいんだ!」


「落ち着きなさい金剛くん。その問題はなんとかなりそうなの」


「俺がいなくても大丈夫ってことか?」


「あなたは必y・・・いえ、解雇の時かもしれない」


「そんな・・・!」


「もともと一人でなんとかできた話よ。でもあなたが私を安心させる存在だったのは間違いないわ」


「せっかくここまでしてきて・・・無駄だったのか」


俺の恋路を叶えることはできないのか・・・


「もし私が帰ってきたらまた私のボディーガードになってくれる?」


「ああ、絶対やる。約束は守る」


「なんだい別れ話かい?朝から悲しいねえ。そんじゃあ彼女さんはそんな男ほって俺と付き合わない?」


「「死ね」」


ドゴォーン!


「はぶあっ!?」


「本当にこの体質は気持ちが悪い」


「なあ、俺がいなくても大丈夫か不安になってきたんだけど」


「平気よ。気持ちは受けとっておくわ」


ーーーーーーーーーー


それからの一日はよく覚えていない。ただずっと祈のことを考えていた気がする。


そして次の日、中学生活で最後の祈との下校


「なんだかあっという間ね」


「ああ」


「また会えるのかしら」


「会えると嬉しい」


「そ・・・・・ふーん」


「お別れなのになんか嬉しそうだな」


「気のせいよ、うん、気のせい」


「自己暗示でもかけてる?あ、家ついちまった」


「本当、あっという間ね・・・・・金剛くん」


「なんだ?」


「元気でね、また会えたらその時はよろしく」


「当然だ。そういえば今日は災難に遭ってないな」


「これが災難よ・・・」


「言われてみれば確かに」


「ふふっ、じゃあね!」


「・・・ああ、達者でな」



これが彼女と出会った最初の思い出だった。

ここで俺は一度人生のどん底に突き落とされた。

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