第2話 思ってたんと違うかもしれん

 普段から時間に余裕を持って登校しているが事情聴取が痴漢された本人が居ない為長引いてしまい1時間目を丸々サボる羽目になってしまった。休み時間に担任に事情を説明するとよくやったとだけ言われあとはお咎めなしだった。いいことすると世界も俺に甘くなるんだなあ。

 待てよ?今なら祈に話す話題ができるんじゃないか?そうと決まれば、いや待て俺、痴漢にあった女性は精神的ショックが大きく他人からその事を話されるのを嫌うと聞いたことがある。危ない危ない、危うく祈のことを考えずに凸るとこだった。でも心配なのもあるよなー、どうしようか・・・

 そんなことを思いながら歩いていると教室に着いてしまった。なんだか入るのが気まずいな、遅刻なんてしたこと無かったからどんな目で見られるのかも不安だし祈に顔を合わせるのも今のことを考えると俺自体がダメなのかもしれんし・・・


「悩んでも仕方ねぇか、サボる訳にもいかんしな」

「これ以上サボってどうするつもりなの?」

「言えてるかも、確かに・・・って祈!?」


 後ろから聞こえた正論を肯定しようとして振り返り声の主に驚く俺、それもそのはず今朝俺が助けた想い人が俺に自分から声をかけてきたからだ。それも独り言に、恥ずすぎる。


「何よ、化け物でも見たみたいに驚いて。私は悪魔じゃないのよ、普通に接してくれるかしら金剛くん」


「いやでもお前っ・・・いや、なんでもない」


 思い出させるのもあれだし今朝の話は言わないほうがいいよな


「なに?今朝ことで気を遣ってるの?それなら大丈夫よ、あなたが告発しなくても私が叫んでいたわ」


「いやそういう事じゃなくて、怖くなかったか?」


「は?・・・・・・私がそんなタマに見えるのかしら?舐められてるわね、死になさい金剛くん」


 えぇー理不尽


「せめてなんか礼のひとつでもされると思ってた俺のピュアハートを返してくれっ・・・!」


「知らないわ、勝手に助けたのはあなたよ」


 とんでもない言い草だ。だがまあ


「まあ、気にしてなさそうなら大丈夫か、一応心配だったから」


「は?・・・何が?」


「いや、あれでトラウマになったら俺もやるせねえなと思って、気づくの遅かったし」


「ふーん・・・・・・一応礼はしておくわ金剛くん、ありがとう」


「お易い御用だ」


 俺の行動も少しは響いてくれという下心がなかったわけでは無いがこうも変化ゼロだともう人間として見られているのかも怪しいなこりゃ。

 でもまあ平気そうでほんとに良かった。

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