昔助けた女の子に嫌われてます
ふやけた干し芋
第1話 ベタな展開は実際遭うと気持ち悪い
朝から電車登校だと必ず満員電車に乗ることになる経験はみんなもしたことがあるんじゃないか?すし詰め状態でたまに臭いのきついおっさんにぶち当たると最悪な朝になる。
だが今日は当たりだ。
なぜかって?
クラスで1番と言っていい美少女が隣で同じくすし詰め状態になっているからだ。名前は
「お、おはよう祈」
「・・・・・・・・・・・・・・・・おはよう金剛くん」
溜め長いよ、怖いよ、こっち向いてよ、なんで無表情?
そう、俺はどうやら祈に嫌われているらしい
元々男子にはキツい態度の祈だが俺は最も歓迎されていない男子と言える程キツさに違いがある。登校時間と最寄り駅が同じということもあってそれを知ってからアタックしようと挨拶から入るがいつもこの態度で撃沈し心が折れて無言になってしまう、告白とかしたら手が出てきそうな勢いだ。はぁ・・・
「ひぅっ!?」
ん?なんだ?隣を見ると祈が無表情で立っている。幻聴かと視線を下に落とすと誰かの腕が祈のスカートを触っていた。そしてその腕はスカートの中に・・・
「っておいこらちょっと待て」
俺は思わずその腕を掴んで持ち上げる。祈は普段見せない驚いた顔をしていた。かわいい。腕の主は意外にも真面目そうなサラリーマンの人だった。そいつは逆に焦った顔をしている。このカス・・・!
「あんたなにしてんの?」
「え、えっと、どうされましたか?急に人の腕を掴んだりしてっ痛たたたいたい!」
「とぼけんなボウフラの絞り汁野郎、どんな理由があっても朝イチから公共の場で女の子のプライベートゾーンに手ぇ出すやつは問答無用で警察に飼育されるんだよ。おら駅つくぞ降りろ」
俺は怒りに任せて金魚のフン野郎を引っ張る。何故だろうか、今ならこいつの腕を握りつぶせる気がする。やり取りの間も祈はずっと驚いた顔をしていて、まぁなかなか見れない顔なのでありがたく拝ませていただいた。こんな子に痴漢するとはこのへボナス野郎め・・・!
怒りで自然と掴む腕に力が入ってしまった。
「痛い痛い!ごめんなさい!分かりました!行きますから!行きますから手の力を弱くっ痛いぃ!?」
「喋んなミジンコ。祈、ちょっと遅れるかもしれないから・・・いや、やっぱいいや。じゃあな」
「・・・・・・ええ」
自分が痴漢されて告発した人が遅れますなんて言いたくないだろうからな。
俺はいつも降りる駅の1つ前の駅でカス野郎を駅員に突き出して警察の御用にしてやった。さすがに好きな子に痴漢する不燃ごみはごみ捨て場に捨てないといけない。降りる時祈がなにか言おうとしていた気もするが汚物を近くに置いておく訳にもいかないのでまた後でとだけ声をかけて別れてしまった。こういう展開よく聞くけど実際に会うとまじで胸糞悪いから二度と起こって欲しくないわ。
朝から悪いことが起きて最悪の気分だ。祈に会えるのは嬉しいけど!
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