第11話 俺はクズ野郎です?
翌朝
ピンポーン
ガチャ
「おはよう祈」
「おはよう金剛くん、今日からまたよろしくね」
「いいけどまだ体質が元に戻ったとは断定できないだろ?」
「それもそうね・・・なんていうのが正しいのかしら」
「うーん・・・よろしくとかいらないし挨拶だけでいいんじゃないか?」
「確かにもうお願いしなくても守ってくれるものね」
「そういう意味じゃないんだが・・・」
「細かいこと気にしても仕方ないわ。行きましょ」
「俺がネチネチしてるやつみたいな締め方しないで」
そんなどうでもいいを雑談しながら俺たちは駅に向かった。
ーーーーーーーー
「懐かしいわね、こうやって満員電車に二人で乗っていると初めて助けてくれた日のこと思い出すわ」
「今でも覚えてるぞ、お前俺が話しかけても空返事だけでめちゃしょげてるとこに痴漢魔が現れたんだ」
「そうだったかしら?私はあなたが告発したことぐらいしか覚えていないわ」
「じゃあなんで懐かしんでるんだ。話題提起した側の記憶力じゃなかったぞ」
「そんなこともあるわ。寛容にならないと器が小さくみられるわよ」
「へいへいさいでございますね」
ーーーーーーーー
昼休み
「ねえ、あなた今日弁当持ってきたの?」
「いや、今日は学食のつもりだけど」
「また兄さんのと間違えて持ってきたみたいで、食べる?割り箸もつけるわよ」
「是非とも食べさせてください」
「ふっ・・・静かに食べられる穴場はあるのかしら?」
「なんでちょっとドヤってるのかわかんねえけどあるぞ。今は使われてない教室が物置になってるんだけどそこは滅多に人も来ないし意外と綺麗にされてるからいい穴場だ」
「そう、ところでそこはあなたしか知らないのかしら?」
「多分」
「採用」
「あざす、じゃあ行こうぜ。こっちだ」
物置部屋に着いて弁当を渡されると何故だか前にもらったものより大きい気がした。兄貴大食いすぎるだろ。
「なんだか昔の行動をなぞってるみたいだな」
「言われてみれば、そうね。変な偶然もあるのね」
「俺はお前とこれ以外の関わり方いまいちわからないからやりやすいけど、飽きてこないか?」
「そう・・・ね、飽きてはいないわ。ついこの間まで離れていたわけだし。ただ、もうちょっと別のこともやってみたい」
「たとえば?」
「私たちは学生よ?学生といえば勉強でしょ、中間テスト一緒に勉強しない?範囲とか授業受けてないからわからないし教えてくれると助かるわ。目標は学年一位よ」
「そんなことでいいならお安い御用だ。・・・・あ、でも一緒に勉強するなら俺の友達と彼女も呼んでいいか?」
「は?彼女?」
「ひぇっ!?ど、どうした祈!?」
「なんでもないわ。あなたの好感度がマイナスまで下がっただけよ」
「嫌うとかの次元超えてるんですが!?え、なんか俺変なこと言ったか?」
思い出せ俺、何言ったんだ?隼人と玲音のことしか言ってないはずだ・・・だめだわからねえ・・・!俺は無力だ・・・1
「何も言っていないわ、このクズ野郎」
「蔑まれてる!?ちょ、機嫌直してくれ祈!そうだ!飯めっちゃ美味かったぞ!ご馳走様でした!ありがたき幸せです!」
「それは良かったわクズ」
「野郎がなくなってただのクズになってる・・・」
結局その日は一日中クズ呼ばわりだった。しんどい、メンタルが。
でも勉強会はしたいようで明日にすることになった。あいつらにも連絡しとくか。
『明日四人で勉強会をします』
『四人?後一人誰だ?』
『明日のお楽しみです。放課後図書室集合』
『了解、玲音には俺から伝えとく』
『よろしゃす』
『(頭を下げる二足歩行の金魚のスタンプ)』
『きもいってそれw』
『お前にしか使ったことない』
『当真、たまに言動がキモいのなんとかしてくれ』
『嘘だろ・・・?』
『大マジだ』
『死んできます』
『早まるな』
『おい、既読ぐらいつけろ!こええよ!』
『(カバが逆立ちするスタンプ)』
『殺す』
『ごめん冗談、じゃあまた明日』
『ほーい』
俺のスタンプだけじゃなくて俺もキモいらしい。心外だ。
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