捕まりたくない正義心、捕まえてほしい恋心。女怪盗VS警察官の結末は!?

怪盗と警官――ミステリやサスペンスでは永遠のライバルであるふたり。今回この役者として舞台に上がったのは、昼は明るい小学校の先生であり、夜は華麗な怪盗に変身する『あかり』さんと、真面目で誠実なよいお巡りさんである『一ノ瀬』さんです。

女怪盗と警官。間違っても気軽に出会ってはいけないこのふたり……なのですが、まさかのお隣さんになってしまって!?

この設定だけでも読みたくなる方は気になって仕方ないと思いますが、本作にはまだまだ魅力的な仕掛けがいっぱい。あかりさんの怪盗業は私利私欲のものではなく、あくまで子供たちをさみしさから救うために始めたもの。つまり彼女はどうしても応援してあげたくなってしまう義賊なのです。

しかしどんな理由があろうと罪は罪。それを追う警官である一ノ瀬さんも、自分の道を曲げることはできません。しかも出来るだけ離れなければならないこのふたり、プライベートではどんどんイイ感じになってしまっていくという!笑 もうどうなっちゃうの〜〜!?!?の連続で、次ページをタップする手が止まらなくなること請け合いです。

今までの作品とは違うライトテイストな書き味に作者さんの手腕を実感するのはもちろん、これまでと同じく繊細な女性の心が丁寧に描写されているところは変わらずなのもファンにとって嬉しいかぎり。あかりさんは本当に追っていて気持ちの良い人物で、カッコよかったり可愛かったり、その時の気持ちの表現もうなずくことが多く見ていて飽きません。特殊能力があったり、残酷な運命を背負ったヒロインというわけじゃないのに魅力がいっぱいで、大変推せる!な主人公です。

彼女を追う警官の一ノ瀬さんはスパダリと言っても過言ではないくらいの好青年で、越してくるお隣さんとしては(身も蓋もない言い方をすれば)間違いなく最優良物件のイケメンです。だからこそなかなかあかりさんのアタックにも揺るがず、お、追っているのはどっちだ…!?と錯覚さえしてしまうことも笑

どたばたと追ってかわして、というテンプレ話では済まないところも本作の魅力。子供たちと接するうちに、あかりさんは怪盗として教師として、街で起こる少年犯罪と向き合っていくことになります。正義心が強すぎるあまり無茶をする彼女の姿はかっこよくてスリルも満点ですが、もちろん一ノ瀬さんは放っておけなくて。やがてそんな秘密のピースは形を成し、ついにふたりの本当の邂逅へと繋がっていきます。怪盗と警官として、女と男として――譲れないものをぶつけあったふたりを包む結末には思わず涙が……!(T ^ T)

ラブもコメディもシリアスも全部乗せ!な、大変味わい深い作品です。きっとあなたの読書時間も、『ぴよぴよ仮面』にすぐに盗まれてしまうはず♡おすすめです!

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