私たちを作ってきたお話たちを、もういちど。

小学生の国語の教科書に掲載されている作品を、短い文章で紐解いていくエッセイです。すでにこれだけで「ほほう」と思う方も多いはず!

当時の学びの記憶はもちろん、今は親となった作者さんの視点で語られる文章の優しいこと。
決して文学的な評価がどうのこうのみたいな難しい話ではなく、作者さんの感じたことや推測が爽やかに描かれている点が気持ちいいです。

国語の本って今思えば、相当クセがすごくないですか?(笑)「悲しい。なんでこんな話、読ませるんだよぉ……」とトラウマになった話なんかもあったはず。だからこそ、今でもそのお話のタイトルを聞くだけでじくりと胸が鈍く痛むお父さん・お母さんにはとてもおすすめ。大袈裟でなく、なんだか昔の自分まで救われるような気持ちになるのです。あの時に感じた悲しみも痛みも、とても大事なものだったと認めてくれたような気がして。

決して物語的にはハッピーエンドでなくとも、さすが教科書に選ばれるだけあるお話たち。シンプルな文章のその裏にあるテーマに目を向けると、違った景色が見えてきます。子供達の毎日の音読(という名の耳の修行)も、違った印象になってくるかもしれませんよ。

今は自分で書いている人にも、まだまだたくさん読んでいる人も。
もういちど教室の小さな机の前に座って、あの物語たちを開いてみませんか?

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