Episode 15 初めての発作
話が少し前後しますが。
私が離婚のことで戦っている頃、ゆっちゃんも、また、戦わねばならないことができました。
ある日の朝、さっきスクールバスに乗せたばかりで、やっと学校に着いただろう時間に、学校から電話がかかってきます。
「お母さん、すぐ来てください。ゆりさんが、発作を起こしたかもしれません!」
「発作??」
慌てて、学校へ急ぐと、いつものゆっちゃんが座っています。
「あの……発作っていうのは……?」
一緒にバスに乗っていた先生の話では、まっすぐ前を向いたまま目を見開き、肘を直角に曲げて、暫く細く震えていた様子。先生がすぐ気付いて、声をかけ、暫くすると普段通りのゆっちゃんに戻ったとのこと。
「てんかん発作かもしれません。すぐ病院へ」
ゆっちゃんは、特に悪いところがあったわけでもなかったので、病院にはかかっていなかったのです。
すぐ病院へ行きました。脳波検査をすると、
「特に異常は見られないけどなあ……」
ということだったのですが、
「もしかしたら、睡眠時に出るのかも知れません。次回、睡眠時の脳波を取りましょう」
と言われました。
言われてみれば、最初の診断を受けたとき、一度、脳波を取ったことがあり、その時に、てんかん性の脳波があります、と言われたことを思い出しました。
その時は、発作の可能性もありますので、定期通院を、と言われ、数ヶ月に一度通院していた……かもしれないのです。……もしかしたら、何度か脳波も取ったかもしれない……。
でも、薬を飲んでいたわけでもなかったので、覚えてないんです。
自分が精神的にやられてしまっていたので、ゆっちゃんの脳波検査の記憶も全く失っていました。
先生が検査結果を見て、
「やはり、睡眠時にてんかん性の脳波が見られます。発作が起きたのは?」
「初めてです」
「倒れるようなことも、意識を失うようなこともなかったので、軽い発作で済んだんだと思います」
よかった。胸を撫で下ろしました。
「ですが、恐らく、これからずっと、毎日朝夕の薬を飲む必要があります」
そう言われました。
発達遅滞に、てんかん。お母さんは、ゆっちゃんにまで大変な人生を与えてしまったんだね。ごめんね、ゆっちゃん。
なんでこんなに、これでもかこれでもかと、私と娘たちは、辛い、しんどい人生を強いられないといけないんだろう?
神様がいるとしたら、なんでそんなに不平等なんだろう? と思いました。
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