Episode 06 転勤とパート

 まゆはすくすく育ちました。9ヶ月で歩いて、翌日から走るようになりました(笑)。


 まゆとゆっちゃんを一緒に連れて買い物に行くと、ゆっちゃんの手を離すと座り込むし、まゆの手を離すとどこかに行ってしまって、必ずといっていいほど「迷子センター」に保護されている。そして帰りはどちらも疲れて寝る。ので、結局、ベビーカーが必要でした。

 抱っこを楽にできるように座らせるタイプのウエストポーチの上にまゆを座らせて抱っこ。ベビーカーにゆっちゃんを乗せて。買い物はリュック。電車の時は、まゆはおんぶ。ゆっちゃんは抱っこ。右肩にリュックとベビーカー。そして左手で手すりを掴んで昇る、降りる。私は両利きで、左手の方が力が強いのです。


 もう、必死です。何もかもが必死。車がない生活がこれほど大変だというのに、元夫は、車を買ってくれない。あいつ、どこかでうっかり死なないかな? とか毎日思ってましたね。

 こんなに大変で、こんなに辛くて、虐げられて、何で離婚を考えなかったのか。多分、子供には父親が必要だと思っていたんでしょうね。


 ゆっちゃん3才5ヶ月、まゆ1歳7ヶ月の時、三重への転勤辞令が出ました。物凄い量(多分100箱くらいあったと思います)の荷物を一人で段ボールに詰め、自分で組み立てた突っ張り型の大きな本棚とかも解体し、全ての手続きを一人でやりました。元夫は、自分の荷物を4箱詰めただけ。もうこの人に何を期待しても無駄なことはわかっていました。

 引越し先でも、すべての荷物をどこに置くか指示。荷ほどきも一人で。すべての手続きも一人でしました。元夫なんかいないかのように。


 家は高台の高級住宅街にありました。バスの本数が少ないし、スーパーにも歩いてはいけない。坂道を延々と登らないといけないので自転車も無理だとわかると、さすがに車を買ってくれました。

 ゆっちゃんの障害のことを市役所に伝えていなかったため、補助職員が準備できないので少し待って下さいと言われ、1ヶ月待ちましたが、無事、認可保育園に入れることができました。勿論、そのためには、私が働きに出ることが条件です。私は、ドラッグストアのパートに採用されました。


 車があるので、保育園の送り迎えや買い物が、物凄くラクになりました。子供たちを保育園に送ってからドラッグストアに仕事に行き、帰りに拾って帰ります。この生活は、私にとって、物凄く張りのある、楽しい生活でした。

 保育料は、二人合せて6万5千円。私の一ヶ月のパート代と同じです。何の儲けにもなってはなかったのですが、生活費から保育料を出さなくて済むようになっただけでも違いました。


 休みの日は、子供たちと散歩に行ったり、庭でプールやシャボン玉。全力で遊ぶ、心の余裕もできました。一緒にクッキーを作ったり、ケーキやパンを焼いてやったりもしました。


 思えば、この頃が、ゆっちゃんもまゆも、私も、一番笑っていた時期だと思います。

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