Epilogue

 ゆっちゃんは、今(令和4年現在)、28歳になりました。ずっと施設暮らし、年に2、3回帰省します。最近はコロナで全然帰らせて貰えず、面会もできずという状態が続いていますが。


 先日、施設の方からお手紙で、ゆっちゃんの最近の様子を写真と共に送って下さいました。

 最近は、ビーズの色分けをしたり、迷路をしたりして楽しんでいるようです。迷路! 気づきませんでしたね。そんなことできるようになってたんだ。今度、帰省してきた時に一緒にやってみよう。そう思います。



 まゆは26歳。旭川で去年結婚しました。年に1、2回帰省します。

 子供ができたら、母の苦労もわかるよ、キミも。そう思いながら、

「えっ? まゆに子供できたら、ばあちゃんじゃん!」

 って、今更気が付く53歳の緋雪さん。

 うわぁ。思えば、うっかりそんな年齢になっていました。



 この夏に、母が10年ぶりにこっちに来るということで、娘夫婦と4人で温泉旅行を予定しています。

 ゆっちゃんは無理かなぁ。道外や管外からの人との接触ってなると、多分、施設の許可が貰えないんじゃないかなあ。と、残念に思いますが。


 まあ、また、いつでも会いに行ったり来たりすればいいことですから。



 ゆっちゃんを育ててきて思うことがあります。


 そりゃ大変だったし、苦しかったし、辛かったけど、健常児で育つと見過ごしてしまうような些細な成長や変化を、私はしっかり見ることができたのです。これは誇りに思っていいこと。

 そして、娘たちが、ちゃんと優しくて明るい子に育ってくれたこと。二人が仲良い姉妹でいてくれること。これらは、私にとって、本当に嬉しいことだと思います。



 勿論、ここがゴールではありません。これから何があるのか、全くわかりません。でも、一つ一つ乗り越えていけばいいと思うのです。


「頑張りすぎなくていい。諦めなければいいんだよ。」

 圭さんがくれた言葉を信じて。

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ゆっちゃんのお話 緋雪 @hiyuki0714

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