Episode 00 お腹の中

 長女がまだお腹にいた頃、元夫に、強制的に弁当を作らされていました。

 

 7ヶ月を過ぎた頃に、どうもお腹の張りを強く感じて、

「立ってられないから、お弁当作れない」

 と言うと、元夫は、

「立ってられないなら座って作ればいい」

 と言います。私は意地になって作り続けました。


 定期受診日になり、バスに乗って、通院し、先生にお腹の張りが強くなっていることを伝えると、お腹の張りの時間を測る機械に乗せられます。

 そして、その結果を見ていた看護師さんが顔色を変えて、先生を呼びに行きました。

 

「5分毎に張りがきてます。陣痛ですよ? 放っておいたら、すぐ産まれてしまいます!! 緊急入院して貰います!!」


 そして毎日24時間ずっと点滴をされたまま、絶対安静。


 まだ7ヶ月。今生まれたとしたら、赤ちゃんは2,000gに到底満たない超未熟児。そこの病院では対処できなくなります。しかも逆子。臍帯が先に出てしまうと、母子ともに命に関わる。という最悪な状態。


 そんな中、会社を早退して駆けつけた元夫は言いました。

「お前のせいで弁当食う暇なかっただろ!」

 そして、絶対安静の私の隣に座って、私がその日無理して作った弁当を食べました。


「死ね!」本気で思ったのを覚えています。


 その後、なんとか8ヶ月の終わりまで持たせ、薬だけで調節できるようになった私は、母と一緒に新幹線に乗り、実家へ。(その頃は埼玉にいました)絶対に里帰り出産をしたいと思いました。


 その後も絶対安静で、ギリギリまで持たせて、帝王切開で長女を産むことができました。約2,700gまで成長してくれました。


 でも、すぐには泣かなかったように思います。


 私は全然麻酔の効いていない帝王切開で痛みが余りにも凄く、産んですぐ全身麻酔に切り替えられたので、あまり覚えてないのですが。


 とにかく、大変なことを乗り越えて、私は長女を産み、彼女の人生が始まったのです。

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