レンブラント・アークライト ②

「はい、ということでー!僕の名前はレンブラント・アークライト。ブレイベン学園中等部の3年生です!」


〈うわ、、びっくりした〉

〈鼓膜ないなった〉

〈エモさを返してくれ〉


しんみりと終わった動画に浸っていた視聴者を、容赦のない大きな声が襲う。黒いローブを着た少年、レンブラント・アークライトは墨色の瞳をキラキラさせながら、こちらを期待を込めた目で見つめていた。


「ふふふ、ごめんごめん、緊張しちゃってさ。それよりも、さっきの動画、どうだった?」


〈良かったよ!〉

〈素直に良かったと言っていいのか?〉

〈エモかった〉

〈泣いた〉


「ふふふ、良かったって言っていいのか悩んでくれてる優しいリスナーさんがいるね。確かに、良かったって言える話じゃないけども、僕の根幹をなす話だし、良い機会だから動画化してみたんだ」


〈エモい〉

〈動画化した??〉


「エモい製造機になってる人がいる。あ!気づいた?そう、この動画、僕が作ったの!」


〈え、すご〉

〈絵が上手すぎる〉

〈すげ〜〉


「ふへへへへ、ありがとう!じゃあそろそろこの辺で自己紹介に入ろうかな」


「改めまして!僕の名前はレンブラント・アークライト。ブレイベン学園中等部の3年生です!」


先程までの空気を一新させるようにそう言って、レンブラントは背景をプロフィール画像に変更し、自己紹介を行い始めた。


VTuberが使う2Dモデルは最近では感情差分が使えるようになっていた。技術ガチ勢なヴァレフィセンスというグループは、もちろんそれを導入しており、レンブラントは生き生きと様々な表情を魅せていく。


「僕は将来的にウィル様の部下になる予定なんだ!ウィル様が将来指揮する魔法団にこの若さで内定貰ってるんだよ、すごいでしょ〜」


〈へ〜〉

〈ウィル様呼びなんだ。〉

〈魔法弾?〉


「いや、そっちの魔法弾じゃないよ!玉じゃなくて団体って意味!王国の騎士団と双璧をなす、すごい軍隊なんだよ」


〈軍隊に入るのか〉

〈レン君は強いの?〉


「まあ、僕は研究職だから後方の方かな。でも僕、昔から魔力がバカみたいに高いから結構強いよ〜、おじいさまが無理にさせてたあの勉強も、本当はもっと大きくなってからやる魔法を教えこむことで、余った魔力が暴走しないように消費させてたんだ、おじいさまのあの分厚い本がわかるようになったのは密かな自慢」


〈全然ひそめれてなくて草〉

〈全世界にリアルタイムで配信されてるよ〉

〈あんな分厚い本の内容理解しているのは素直に尊敬する〉


「ふふ、それとも繋がるんだけど、好きなことは魔法の研究!僕、中等部生ながら数々の魔法を改良した、ちょっと凄い人なんですよ?」


〈魔法の改良?〉

〈ちょっとってどのくらい?〉


「ふふふ、なんと魔力の効率を3%も削減した光の魔法陣を開発したんですよ!学校の皆はたった3%?っていうんですけど、これ、すっごいんだからね!」


〈光の魔法陣か〉

〈エモい〉

〈3%の電力削減みたいなことかな?普通にすごいな〉


と、コメントと戯れつつ自己紹介を進め、タグ決めも終えていった。


「う〜ん、時間余っちゃったな、最初に流した動画の技術的な解説しようかな?こっちの世界って凄いよね。魔法はないのに魔法より凄いこといっぱい出来ちゃう!」

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