悪役令息VTuberに転生したので原作再現しようと思います!

野間々々

プロローグ

【デビュー配信】ウィルベルト・フォン・ルードル【ヴァレフィセンス/ウィルベルト】

ヴァレフィセンス、それは今ツイットを中心に界隈を騒がせる個人VTuberグループだ。個人なのかグループなのかハッキリして欲しい表現だが、企業に所属しているVTuberを企業勢と呼び、その他を個人勢と呼称する場合が多い。


成長著しいVTuber業界では、VTuber自体の数も、そして新しくデビューするVTuberの数も多くなり、大御所事務所の新人でもない限り、デビュー配信の視聴者数は数人、良くて十数人であることが多い、いやむしろ視聴者数0人なんて事がざらにあるのだが、ヴァレフィセンスはストーリーを予感させる予告動画と、それに使われた卓越した技術力で注目を集めていた。


また、ツイットで名を馳せている数人の技術者がVTuberとしてデビューはしないがお手伝いとしてグループに参加しますと表明したことで個人勢()としてネタにされたことも認知度に影響を与えているだろう。認知度を上げるために既に人気な人物からの橋渡しを利用するのは有効な戦術だ。


そんな話題沸騰中のグループが初配信をするだけあって、3桁に登る視聴者がこの配信を開いていた。彼の前に初配信を終えた同グループのVTuberの2人が、素晴らしい個性を魅せた事により、期待も高まっていた。


そして、


「はじめまして。私はウィルベルト・フォン・ルードル。グリードリー王国、ルードル公爵家の長男だ。以後お見知り置きを。」


涼しげながらも芯のある、冷たささえ感じる明瞭な声が、氷のように鋭利なかんばせから放たれた。

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