レンブラント・アークライト ③

レンブラントは動画ソフトの画面を映し、配信冒頭で流したPVの解説を行っていく。


「ここが僕が住んでた家〜!色んな所の建付けが悪くて色々ギシギシ言ってたなぁ」


〈外に出る時も扉からすごい音してたもんな、ギギギィ!って〉

〈小さい子に合わせた机があるのに目の前に置いてある本は分厚いんだよなぁ〉

〈おじいさまって怖かった?〉


「おじいさまが怖かったって?そっりゃあ、もう怖かったよ!今でこそ僕のために言ってくれてたんだなっていうのはわかるけどさ、あの頃はもう怖くて怖くて仕方なかったよ」


そう言った話をしながら、外の景色までの解説を進める。


「あ!そういえば!この動画の帰れない道ね、呆れたことにアレ、おじいさまに見つかりたくなかった僕が無意識に使った魔法だったんだよ!」


〈無意識で使ってしまう魔法ってやばいな、それはおじいさまも魔力を消費させるわ〉


「そうだ!さっき、こっちの技術も魔法みたいだって言ったでしょ?お花の咲かせ方、実践しちゃおっかなあ!」


〈おお〜楽しみ〉

〈気まぐれだな〜〉


コロコロと表情の変わるレンブラントの配信は見ているだけで癒される。


技術面の話も面白かった。パラパラ漫画のように花を咲かせたあとは、画像の色を弄ったりして晴れた空を満天の星空に変えたり、その場に光の玉を作ったりと、次々と行われていく動画の改変は、それこそ魔法のようだった。


そうして、レンブラントの配信は終始和やかに、平和に過ぎていった。


「そろそろ終わりの時間だね。みんなありがとう〜!あ、この後21時からはウィル様の初配信だよ!みんな見てね。それじゃあまたね、ばいばーい!」


画面が切り替わりエンディングが流れ始める。待機画面と同じように配信の終わりにエンディングに流す動画を作っておく配信者は多い。配信終わりの雰囲気作りの面もあるが、配信サイトの機能にオススメの動画を小さく表示する機能があるため、配信の内容に被せることなくオススメの動画を表示できるようにする役割もある。


レンブラントが用意したエンディングは、ごちゃごちゃとした錬金術師の机で何か研究をしている彼を後ろから映したものだった。


こくり、こくりと寝落ち寸前のような動きをするその動画は実に可愛らしかった。












〈ちょ、鏡〉

〈鏡にレンくんのホムンクルスみたいなの写ってるんだけど〉

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