概要
だが、十兵衛の切腹はとある男の介入により不本意にも止められた。
男が起こした神のごとき所業に己が冥土にいると勘違いしかけた十兵衛だったが、男のかけた術のせいで腹を切っても死ねない身体になり、加えて元の世界にも容易には戻れないと知る。
死を司る神の名を借り、【ハーデス】と名乗ったその男は、十兵衛に「ある時を境に死を望み始めた、不死の部下達の真意を知りたい」と協力を願う。
それが叶えられた先で切腹が出来る身体に戻してやると約束された十兵衛は、魔法や奇跡という物が存在する遥か異界の地で、ハーデスと共に「自ら死を選ぶ者達の心」を知る旅に出るのだった。
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おすすめレビュー
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- ★★★ Excellent!!!切腹から始まる死を問う旅道
――何故、自ら命を絶つか。
主君の城を守れずに、自責から自らの命を断とうとする男――八剣十兵衛の前に現れた、『死の律』と名乗る男。こうして、死ぬことが出来ない【呪い】を掛けた彼と、異世界で神になって主君に挽回を求める十兵衛の異世界での旅路が始まった。
丁寧かつ分かりやすい第三人称で描かれる彼らの旅路は、まるで実際にあるかの様に、全てが色鮮やかであり、キャラも丁寧に書かれており、全員が主人公と思うくらいである。それ故に、協力して敵を倒すというシーンは本当に胸熱で、手に汗握ってしまう。
緩急の付け方が非常に上手であり、シリアス一辺倒という訳でもない。
だが、ちゃんとシリアスな展開になればシ…続きを読む - ★★★ Excellent!!!生死を問う命の物語
切腹から始まる物語に息を呑む。
死を望む十兵衛とそんな彼を死なせないハーデス。
これは命を問う物語である。命を問い、自らに問いかける物語だ。死ねなくなった体を厭いながらも十兵衛はハーデスと共にぶつかり合い、協力しながらお話は進んでいく。二人のやり取りは重々しくもあるが時に軽快に笑わせてくれる。
重い題材を扱いながらも、所々に挟まれた笑いが緊迫する物語を解きほぐしてくれる為に読む手が止まらなくなる。
重々しいだけではない、熱く、すっきりする展開もある物語は読み終えた後も彼らの世界の中を見つめている感覚になる。
十兵衛とハーデスだけではない一人一人の命の物語が丁寧に、深くまで描かれた物語は最後…続きを読む - ★★★ Excellent!!!刀のように美しい作品
作品の命題は「なぜ、人は死を選ぶのか」
重く骨太なテーマです。文章もしっかりとしたものであるために初見はとっつきにくいムズカシイ物語に思われるかもしれません。
みなさん、そんなことはないです。騙されたと思って第6話のタイトルを見てください。
見ましたね? 完全なシリアスオンリーの作品では決してつかないサブタイトルです。
私はこの第6話で喜劇に見舞われました。
そう、電車の中で読んでしまっていたのです。何が起きたかは想像の通りです。
この冥王と侍はシリアスとコメディ両方が極上なのです。冥王を十兵衛のツッコミは一刀両断。テンポよくバリエーションにとんでいて笑いを誘います。けれど、…続きを読む - ★★★ Excellent!!!旅の果てはどうなるのか?
十兵衛は城を守れず仲間と共に切腹をしようと思った。
しかし、切腹の寸前、謎の存在に切腹を止められてしまう。
謎の存在は、死神、魔神、死者の王、冥王と人々から呼ばれ、死の律を司る者であった。
冥王と侍、二人の出会いによって物語が始まる。
十兵衛とハーデスの掛け合いが面白いです。
最初は殴り合いをするほどでしたが、十兵衛がハーデスを理解するほどになりました。
また、ハーデスの力は絶大。死の律であるからこそ、奇跡が行えます。
一章終盤の力は圧巻でした。
この作品は面白さが魔物との戦いから加速すると私は感じました。
物語のスピード感が増します。
そして、一章の終わりに…続きを読む - ★★★ Excellent!!!冥王と侍と共に命を見つめる旅を
何故に自ら命を絶つか。
潔く散ってこそという侍と、与えられた命を捨てることを理解できない冥王と、そんな二人の旅路である。
こう書くとシリアス一辺倒のように映るかもしれないが、そんなことはない。シリアスなところはシリアスに、コミカルなところはコミカルに、程よい塩梅で織り混ぜられて、緩急ある作品に仕上がっている。
命とは何か、生きるとは何か。侍たる十兵衛の口から語られる言葉は時に重く、ずしりと来ることもある。
いつか終わりを迎えるその時に何を思うのか。彼らが旅路の果てに見つけるものを見届けたく思う作品です。
異世界のキャラクターたちも皆魅力的。ぜひご一読ください!