切腹から始まる死を問う旅道
- ★★★ Excellent!!!
――何故、自ら命を絶つか。
主君の城を守れずに、自責から自らの命を断とうとする男――八剣十兵衛の前に現れた、『死の律』と名乗る男。こうして、死ぬことが出来ない【呪い】を掛けた彼と、異世界で神になって主君に挽回を求める十兵衛の異世界での旅路が始まった。
丁寧かつ分かりやすい第三人称で描かれる彼らの旅路は、まるで実際にあるかの様に、全てが色鮮やかであり、キャラも丁寧に書かれており、全員が主人公と思うくらいである。それ故に、協力して敵を倒すというシーンは本当に胸熱で、手に汗握ってしまう。
緩急の付け方が非常に上手であり、シリアス一辺倒という訳でもない。
だが、ちゃんとシリアスな展開になればシリアスに。クスッと笑ってしまう所は、本当に愉快気にと、ストーリー展開も遅くなく、また一話の文字数も3000と一、二分で読めてしまうので、気づけばサラサラと読んでしまいます。
主人公の十兵衛は、【次元優位】という特性上、異世界では無類の強さを発揮するのですが、『侍』である以上、敵に情けを掛ける事もあれば、賞賛する事もあり、なろう特有の『イキり』は無い。無自覚という訳でもないので、ストレスフリーで読めてしまう。
また、この物語はバディ物要素もあり、前述した『死の律』ことハーデス。
彼と十兵衛の仲もまた良い関係へとなっている。
最初こそは自らに死ねない呪いを掛けた張本人として険悪な雰囲気だったが、気づけば知らず知らずの内に仲良くなっている。
口喧嘩をしても、本心では互いの事を理解しようとする二人の関係は尊さそのもの。
私の推しキャラは第三章で登場する『リン』ちゃんです。
存在自体がネタバレになるため、あまり詳細は言えませんが、彼女の明るい精神とキャラ属性に惹かれてしまいました(笑)