私はいま、事件の現場に来ています


ホラーチックであり、サイコ的でもあるこの本文は、主人公が狂っていく様がありありと描かれている。真夏の夜の様な、まるでひと時の夢の様なそれは、家族愛を糧に狂気を孕んでいく。

ある意味それがこの怪異の本質なのかもしれませんね。
一体少年は何に魅入られてしまったのか、妹は本当に化け物になったのか。
猿という所も興味深い、もしかすると、彼の目にはもう全てが怪異に見えてしまったのだろうか。

どちらにせよ、私はこういう。

『私はいま、事件の現場に来ています』――と。

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