じっくりと腰を据えて読んでほしい、苦くも滋味深い物語。神視点が効いて、中世ヨーロッパ風の物語世界にスムーズに没入できます。
戦乱の世。村のきこりだった主人公ガストンが、はからずも兵士となり、戦働きで身を立てていく一代記。このガストン、敬虔で朴訥な一面を持つ一方、直らない拗ね癖を持つ。決して好漢とはいえない人柄だが、どこか憎めず、読み進めるうちにいつの間にか彼を応援している自分がいた。これは悪漢小説に惹かれるのに似ているだろうか。
たいてい泥臭く血なまぐさい戦場がガストンの働き場だ。そして、トントンと出世していくような爽快な物語ではない。負けて、勝って、負けて……紆余曲折の繰り返しだ。本作を読んでいると、「人間万事塞翁が馬」という故事がどうしても思い浮かぶ。同時に「因果応報」とも思わせられる。どうしようもなく人生というものがここにはあり、そこに心揺さぶられる。
現在物語は第105話で、一つ区切りがつきそうな場面ですが、まだまだ続きを期待する作品です。
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中世風の世界を舞台にガストンという主人公を描く一代記。
魔法も奇跡もない世界、この普遍的な設定やキャラクターでこれだけ読み応えがあり、面白い作品に仕上げられると言うのが凄い。
社会制度や文化、地理、技術など非常に中世らしいリアリティを備えながら、それらに引きずられ過ぎず読みやすさを実現しているのが書き手の技倆の高さを示していると思います。
人物描写も巧みで、主人公は実直で武勇に優れるが難しいことを考えるのは苦手、長いものには巻かれるなど長所も短所も持ち合わせながら成長していく魅力ある主人公となっています。
その他の登場人物たちも粗野だったり乱暴だったりと言った人物が多数を占めていながらきちんと個性を立てており、硬軟織り交ぜた描写が実に上手い。
主人公ガストンがこの先どのような人生を歩むのか、これからも楽しみに拝見したいと思います。