刀のように美しい作品

 作品の命題は「なぜ、人は死を選ぶのか」
重く骨太なテーマです。文章もしっかりとしたものであるために初見はとっつきにくいムズカシイ物語に思われるかもしれません。

 みなさん、そんなことはないです。騙されたと思って第6話のタイトルを見てください。

 見ましたね? 完全なシリアスオンリーの作品では決してつかないサブタイトルです。
 私はこの第6話で喜劇に見舞われました。
そう、電車の中で読んでしまっていたのです。何が起きたかは想像の通りです。

 この冥王と侍はシリアスとコメディ両方が極上なのです。冥王を十兵衛のツッコミは一刀両断。テンポよくバリエーションにとんでいて笑いを誘います。けれど、スッとシリアスな展開にも移行します。第8話はシリアスな展開として、薬草売りの嘆きは胸に深く刺さります。この嘆きはたった数行です。でも、深く深く刀のように鋭く突き刺さるのです。

 十兵衛と冥王の掛け合いに注目すると最高のバディものであることにも気づけます。
ほんと、十兵衛はいい男です。

是非読んでください。面白さは保証します。

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