緩やかな心の変容

美しいということに対しての捉え方の変化が興味深い作品でした。

 序盤においてメイクは醜いものを隠す物と主人公は認識してしている。そのため必死にニキビや赤みを覆い隠すメイクをしていく。
 母親から教わった「だって、醜いものを直さないと綺麗にならないでしょ?」という掃除の理論に基づきメイクを行っていた。
 終盤では時間潰しに本を読むようになった。と書かれている。きっと彼女は元から本をよく読んでいたのだろう。けれど解説本も読めるようになったとある事から読書の幅を広げる努力していた事が読み取れる。
 序盤と終盤を比較すると描写の端々から心の変容をありありと読み取る事ができる。そう、行動が変わっているのだ。隠すための行動から母親に教わった「醜いものを直さないと綺麗にならないでしょ」という言葉通りに自分が醜い、嫌いだと感じていた所を改善して「直して」いく様に心が変わっていった。

 そんな憧れの自分になるために努力を重ねる彼女の人生は美しいと、言えるのではないだろうか

是非、お読みください

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