【命の妙薬】②
「心細いし、早くコウタを起こそう」
いまモンスターにでも襲われたら簡単に死ねる自信がある。
一刻も早く解呪のアイテムを探さねば。
地下に着くと宝物庫の鍵は開いていた。
カノンが出入りしてそのままだったらしい。
「あった、これが呪いを解くアイテムか」
そこには丁寧に説明書きのある小瓶がおいてあった。
「さっきからなんか親切すぎるな、まるで誰かに操られているかのようだ」
不審に思いながらも他に解決策もないので、小瓶を持ってコウタのところに戻った。
「これ飲ませればいいんだよな?」
小瓶の蓋を開けて中身を見ながら呟く。
なんとなく毒々しい色合いにも見える液体だ。それでも、どこぞのお姫様みたいに王子の口づけでないのが幸いだ。
「とりあえず飲ませてみるか」
コウタに少しずつ液体を飲ませてみる。
「んっ、うーん、」
飲ませ終えるとコウタが唸り声を上げて動き出した。良かった無事呪いは解けたようだ。
「俺は寝てたのか、」
コウタは自分の状況を確認する。無事目覚め、唇がぬれている。
「まさか、親父、」
「いや、違うからね。これ!この小瓶の中に解呪の薬が入ってたから!」
俺は必死に言い訳していた。
しばらく気まずい空気が流れたのは言うまでもなかった。
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「コウタたちなら大丈夫。今は成すべきことを成す!」
自分に言い聞かせらようにカノンは呟いていた。
古城を後にし最初に訪れた村に来ると、宿屋のお婆さんが出迎えていた。
「どうやら、命の妙薬は手に入ったようだねぇ。無事にというわけでは無さそうだけど」
お婆さんは辺りを見回して言う。
「彼らなら大丈夫、後から必ず来ますよ」
「美しい友情だねぇ。それを信じて疑わない目だ」
「もちろんです。ところでお婆さん、道中兄たちを見かけることはありませんでした。先に行った兄たちの行方、ご存知ではないですか?」
カノンはお婆さんに尋ねる。
「二人ならあまりに傲慢な態度だったからねぇ。ちょっとお仕置きしているのさ」
お婆さんは可笑しそうに言う。カノンはお婆さんの助言の数々から、彼女だただモノではないことを察していた。
「兄たちの無礼は重ねてあやまります。どうか、父の元に兄たちをお戻し下さいませ」
カノンはお婆さんに頭を下げる。
「ワシはお主を気に入っとる。今回は特別じゃ」
お婆さんは村から見える渓谷を指刺し、そこに幽閉していることを告げ牢を開ける呪文も教えて貰った。カノンは重ねてお婆さんにお礼を言い、兄たちを救いに急いだ。
「お主の優しさは武器でもあり、弱点なんじゃ。気をつけてな」
お婆さんの言葉は先を急ぐカノンには届かなかった。
程なくして、渓谷に着いたカノンは岩の牢獄に囚われた兄たちを見つけた。
「おぉ、カノン!ここだ、ここだ。助けてくれ!」
屈強な体格のキミトが、カノンに気づいて声をかける。その声に長男クレハも顔を上げた。
「あぁ、カノン。きっと来てくれると信じていたよ。さぁ、この忌々しい牢獄を開けてくれ」
「兄さん、今助けます」
カノンはそう言うと、お婆さんから聞いていた呪文で牢獄の扉を開けた。
「よくやったカノン!お前も命の妙薬を探しにきたのか?」
クレハは、牢獄から出ながら聞いて来た。
「はい、妙薬は無事ここに」
カノンは命の妙薬が入った小瓶を見せる。
それを覗き込み、兄たちは顔を見合わせた。
「よくやったカノン。さっそく父上の元へ急ごうではないか」
クレハはカノンに、伝える。
三人は頷き王都の方角へと歩き始めた。
「なぁ、兄貴。ここでカノンに手柄を持っていかれると俺たちの立場が怪しくならないか?」
キミトはクレハに耳打ちする。
「わかっかいるキミトよ。王都に着く前にカノンから妙薬を奪うぞ」
二人は虎視眈々とカノンの後を付けるのだった。
そして、月も出ぬ夜に二つの影が動き出す。
「兄貴、あったこれだ!」
筋肉質な男は兄に告げる。
「よし、後は中身をこの毒薬と入れ替えておけ。」
兄と呼ばれた男は、弟に支持を出す。
「悪いなカノン、コイツは俺たちが上手く使ってやるよ」
兄はそう言って、手の中の妙薬を見つめるのだった。
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次の日夜明けとともにクライアットの三兄弟は王都へと到着した。
カノンは父のもとに急ぎ、兄たちの無事と命の妙薬を手渡しに行くのだった。
「父上!」
カノンは兄たちより先に父の部屋へと向かい扉を開ける。
「おぉカノン、良く戻った」
ケビンは瞳を潤ませながらカノンを迎える。
「父上、この度は大変ご心配をお掛けいたしました。兄上たちも旅の汚れを落として、間もなく参りますので」
カノンはケビンに兄たちの無事も告げる。ケビンは驚きの表情を浮かべ目頭を押さえる。
「それと父上、これを」
しばらくしてカノンが懐から小瓶を取り出し、ケビンに手渡す。
「カノン、これはもしや?」
「はい、命の妙薬で御座います」
「おぉ妙薬まで手に入れてきてくれるとは、」
ケビンは感動し言葉を詰まらせる。
「さぁ父上、早速お飲み下さい」
カノンに促されケビンは小瓶の中身を飲み干す。
しかし、手渡された小瓶の中身は毒薬。それは弱り切ったケビンの体に耐えがたい苦痛を与え、ケビンは咳き込みながら倒れる。
「父上!!どうされました!?」
そこへ、タイミングを見計らったようにクレハとキミトが姿を現す。
ケビンは肩で息をしてまともに声も出せずにいた。そうしている間に、クライアット家の使用人も集まってきた。クレハは急いで医師の手配を使用人に告げる。
「兄貴、これは、」
キミトがケビンの傍に落ちている小瓶を拾いクレハに手渡す。
クレハはその中身を確認し
「これは毒薬だ!カノン、父になんてものを与えたんだ!」
クレハはカノンを叱責する。
「そんな馬鹿な、確かに命の妙薬を手に入れてはず、」
カノンは動揺を隠せない、
「父上!お気を確かに、本物の命の妙薬はこちらに、さぁ口をお開けください」
クレハは本物の妙薬を父に与える。
ほどなくして父の容態は落ち着き顔色も戻りつつあった。
一部始終を見ていた使用人はカノンの悪行に信じられないといった眼差しを向けていた。
「カノンよ、お前のしたことは許しがたい行いだ。処罰は父が目覚めるまで保留とする。しかし、兄たちは救ってくれた恩は忘れていない。父には私たちからも手心を加えていただくように言っておく」
クレハはそう伝え、カノンはキミトに連れられて自室へと幽閉されるのだった。
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一方、カノンの去った古城ではいつもの静けさが訪れることはなく破壊が繰り広げられていた。
------------------【唯我独尊】------------------
赤い煙を纏う青年は、襲い来るゴーレムや獅子のようなモンスターにも怯まず果敢に剣を振っていた。
「ちょっと、コウタ!こっちまで破片飛んできてるから!あぶなっ、」
コウタの剣により瓦礫となったゴーレムの破片が俺の鼻先をかすめる。
「親父、もっと離れてろ近づくと巻き込まれるぞ!」
コウタが叫ぶが、離れすぎると俺が襲われた時なす術がない。付かず離れず、なかなか加減が難しいのだ。
しばらくするとモンスターの襲撃も収まり、古城は廃墟と化していた。
「どうやら終わったみたいだな」
井戸からあたりを見回して俺は確認する。
「そこにいたか親父。歯ごたえのないやつばかりだったな」
「お前にとってはな」
俺は冷や汗を拭いながらコウタに応える。
「しかし、奇麗だった中庭もすっかり変わったな。これなら幽霊も出そうな雰囲気だ」
「ゴースト系か、物理攻撃効かないから苦手なんだよなー。もっと隊長に色々教わっておくべきだったか」
コウタは周りを見つめながら言う。
コウタが教えを乞うって隊長も化け物だな。俺は辺りの変化を見てコウタに伝える。
「気づいたかコウタ?ここに閉じ込められて、がむしゃらにモンスターを倒してきたが。庭の彫刻や壁は破壊されている。扉はビクともしないのにな」
俺たちは城へと閉じ込められ、二階の窓から中庭まで飛び降りてきたが肝心の門が開かなかった。
そうこうしているうちに、モンスターが集まってきたのだ。
「つまり、門は開かないが壁は壊せるんじゃないか?」
俺はコウタに提案する。
「なるほどね、んじゃ早速試してみますか。」
コウタは大きな剣を高々と掲げる。
【唯我独尊】により体から赤い煙が立ち上り剣に纏わりつく。
その赤く色づいた剣は、いつもより一回りも二回りも巨大に見えた。
コウタが剣を振り下ろすと、赤い雷を纏ったような剣は閃光を発しながら地面を伝い城壁に衝突する。
爆音と土煙を発しながら壁を突き破り、そこには外へと繋がる道が形成されていた。
「まだまだ、隙が大きいなコレも」
ここまでの威力がありながらコウタは納得いっていないようだった。
「さぁ、これで帰れるな。早くいってカノンを安心させてやろう」
俺はコウタに声をかけて、帰り道を急ぐのだった。
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「そんなバカな!カノンがそんなことするはずない!」
急いで王都に戻ると待っていたのは謀反の噂だった。最初コウタは信じられないと言った感じで呟いていたが、騎士団の仲間からも同じ話を聞かされると動揺が走った。
「落ち着け、とりあえずカノンのところに行って話しを聞こう。真偽はそれからだ」
俺はコウタを連れ、クライアット邸に急いだ。
邸宅は水を打ったように静まり返っていて、とても謀反の騒ぎがあったとは思えなかった。
俺たちは使用人にカノンに会いたい旨を伝えたが、取り込み中ということで断られてしまった。
「もたもたしてる間にカノンはどんどん追い詰められていく、なんとかここを突破しないと」
俺は門の前で悩んでいた。
「うだうだ悩んでる暇はない!」
コウタは門に手を掛けると勢い良くカギを壊して中に入っていった。
高級そうな門は見る影もなく曲がっている。コウタはカノンの無実を心から信じていた。
「さぁ行くぞ親父」
コウタは気にする様子もなく進んでいく。
俺は、弁償金の額も想像つかず頭を悩ます。
「なかなか勢いのいい小僧じゃないか。悪いがここまでだ、大人しく引き下がりな」
中庭には大きな槍を抱えた大柄の男が待ち構えていた。
「キミト・クライアットか」
コウタは呟き、静かに剣を構える。
今持っているのは、いつもの大剣ではなく細身の剣だった。キミトの槍と比べると大きさは半分以下しかなく少し頼りなく見えた。
「騎士団でも指折りの我が槍の腕を思い知れ小僧」
キミトは大きな槍を振り回しながら言う。
「カノンに助けてもらっておきながら恩を仇で返すとは、下衆が!」
コウタはキミトに近づこうと距離を詰めるが、キミトの槍がそれを阻む。
突き出された槍にコウタは左に避けてかわす。
避けたコウタに対してキミトの槍は横なぎに襲い掛かる。
コウタは剣の腹で槍の穂先を受けるが、キミトは腕力に任せてコウタを吹き飛ばす。
「さっきまでの威勢はどうした。訓練みたいに手加減はしてやらんぞ。カノンもお前たちも馬鹿ばかりだな、おとなしくしていれば良かったものを」
キミトは上機嫌で事の詳細を話し出す。
「がっかりだな、その威勢でこれだけの力しかないとは。姫様ですらもう少しマシだぞ?」
瓦礫の中からコウタが起き上がる。
「手も足も出ないくせに口だけは達者な!」
槍を構えてキミトが突っ込んでくる。
今度は避けることなくコウタもキミトに向かって駆けていく。
「はっ!そのまま串刺しだ!」
キミトの射程に差し掛かる直前コウタの体が霧のように消えた。
一気に加速してキミトの懐に入ったのだ。
キミトは驚くも、すぐさま槍を持ち替え、反転させた柄の部分でコウタの体を突いて浮かせた。
「小細工を、なめるなよ!」
掛け声とともにキミトはコウタを投げ飛ばす。
しかし、今度はコウタも空中で態勢を整えて身軽に着地する。
「懐に入る素早さはさすがだが、まだまだだな。この俺に死角はない!」
キミトは焦りながらもコウタに告げる。
「慣れないから加減がわからなかった。隊長の真似も難しいな」
コウタはぶつぶつ呟いている。
「何を訳のわからぬことを!」
キミトが叫ぶと再度、槍を持って突進する。
コウタは軸足に力を込めると足元から光が零れた。
「なにっ、」
驚いたキミトの反応も置き去りに雷のごとき閃光がキミトの体をを通り越していた。
「まさか、雷鳥の?」
キミトは燃え尽きその場に倒れる。
コウタも焦げた足を引きずり戻ってくる。
「コウタ!大丈夫か?」
俺はコウタに駆け寄る。
「あぁ見た目ほど酷くはない。さぁ、先を急ごう」
強がりか定かではないが、今はカノンのことが心配だ。
俺たちは屋敷の中へ足を踏み入れるのだった。
屋敷に入ると、それ以上の妨害はなかった。
「シライ様、どうかカノン様をお助け下さい。我々はカノン様を信じています」
見知った顔の使用人が近づいて懇願してきた。
使用人たちの間でも、クレハとキミトの素行不良は知れ渡っていたので、カノンは彼らに嵌められたと思う者も少なくはなかった。
「あぁ、そのつもりだ彼のもとに案内してくれ。」
俺は使用人に告げると、ケビンの部屋へと案内された。
部屋の中では、ケビンでもカノンでもない声が響いていた。
「父上!私も信じられませんが、カノンが父上を貶めたのは事実。このまま近くに置いておくといつ同じような事が起きるか。即刻カノンを屋敷から追放すべきです」
クレハはケビンに詰め寄って告げる。
「カノンよ何か申し開きはあるか。」
ケビンは静かにカノンに問いかける。
「いえ、御座いません」
カノンは俯いたまま答える。
「御座いませんじゃないだろ!今回もそうやって自己犠牲の塊で自分だけ損してくのかお前は!?」
怒鳴り声と共に勢いよく扉を開けてコウタは室内へと足を踏み入れた。
三人は驚いて扉の方を見る。コウタは一直線にカノンのもとに駆け付けその顔を殴りつける。
「しっかりしろカノン!お前の守りたいものは何だ?」
コウタは優しい目で語りかける。
「なんだお前たちは、屋敷の者は何をしている!キミト、キミトはどこだ!?」
クレハが騒ぎ立てる。
「木偶の坊なら中庭でおねんねしてるよ」
コウタはクレハを睨みながら言う。
「なっ、父上この者たちはいったい、」
「ワシの友人じゃ、クレハ黙っておれ」
ケビンがクレハに冷たく告げる。
「俺たちが戻って来たってことは、事の真相は大体把握して頂けましたか?」
俺はケビンに告げる。
「あぁ、最初から疑わしいことはあった。しかし、シライ殿たちがいなかったのでもしやと思っていた。だがそれも杞憂だったな」
ケビンは納得するように静かに語った。
「証拠が欲しければ使用人に聞きな、庭で伸びてる弟がご丁寧に大声で話していたからな」
コウタはケビンに言う。
しかしケビンは首を振り。
「聞かずとも良い。クレハ何か言うことはあるか?」
ケビンの鋭い眼光がクレハを捉える。
病気を患っていた時とは違う力強い目だ。
「いや、私は、父上のことを思って、」
クレハも眼光にあてられしどろもどろであった。
そのうち言い逃れは出来ないと思ったのかうなだれて黙ってしまった。
「お主たちには重ねて迷惑をかけた、後は内々で処理をさせて貰えないか?」
「もちろん家のことに私たちが口を挟むことはありません」
俺はケビンに告げると、勢いよく腕を引っ張られる。
そして首筋にあてられる冷たい感触。
ナイフがそこにはあった。
「道を開けろ!こいつがどうなってもいいのか!」
クレハが俺を人質に逃亡を図っていたのだ。
この中で一番戦闘能力が低く、価値のある人質を探し出すとはさすがの観察眼だ。
と感心しいる間もなく俺は屋敷の外へと連れ出された。
「キミト!!起きろ!」
クレハは足でキミトの腹を蹴りつける。
うめき声をあげてキミトが起きだした。
「兄貴これは?」
キミトが寝ぼけて言う。
「まったくお前は使えない、おい、さっさと逃げるぞ馬を連れてこい!」
「あぁわかった!!」
キミトは慌てながら馬を連れに走る。
「クレハよ馬鹿な真似はよせ!」
ケビンはクレハに追いついて声をかける。
「俺はクライアット家のために散々努力してきた、だが親父のような地位も名誉もない。しかし長男としてこの家を継ぐ義務がある!こんなことで終わりにしたくなかった」
クレハは泣くような喚くような声で父に語りかける。
ケビンも思うことがあるのか言葉を発しない。
「なぜ親父は褒めてくれない、俺は間違っていないのに」
クレハの悲痛な叫びが響く中、キミトが馬を連れてくる。
「兄貴!」
「俺は捕まるわけにはいないんだ」
クレハは俺を放り投げると馬に跨り門を抜けて去っていった。
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「探さなくいいんですか?」
後日俺はケビンのもとを訪ねた。
「あぁ、いま追いかけてもかける言葉がみつからんよ」
あの一件以来少しふさぎ込んでいたケビンは言葉を発する。
「いままでワシは、思った以上にクレハに期待と重圧をかけていたんじゃな」
「親なんてみんな同じですよ、息子に期待しない親なんていません。ただ親の心子知らず、それだけなんですよ」
俺はケビンに宥めるように告げる。
「今は戻ってきて謝ってさえくれればいい」
ケビンは呟く、クレハたちはその後港町で発見されたがそのまま船でどこかへ行ってしまったようだ。
いまではその足跡すら掴めない。
中庭では芝生で空を見上げる二人がいた。
「なぜ、お前の父はあの時後を追わなかったのかな?」
コウタはカノンに尋ねる。
「それは僕にもわかない。でも父の表情に憎しみや怒りはなかった。ただ悲しい目をしていた」
カノンは思い出して答える。
「あそこまでされたのに憎しみもないとは、俺なら考えられないな」
コウタは空を見上げ様々な事を思うのだった。
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