神算鬼謀の国盗り物語

王に成ることを夢見たひとりの騎士の物語。それは単純に胸が熱くなるような成り上がりの活劇には留まらない。
苦悩しながらも愛する者のため、多くの人々のため、何処までも冷徹になり、残忍な手段に訴えてでも己の願いを叶えようとする主人公の姿は自己犠牲の塊で哀しくも痛ましい。
次第に心が壊れていき、それでも払った犠牲を無駄にしないため、王に成るのことを夢見続けた彼が迎える結末、『第一章』のラストまで是非とも見届けてほしいと思います。

時折繰り広げられるキャラ達の会話劇も面白おかしく、シリアスとコメディのバランスが取れた良い作品です。緻密な文体とそれからなる情景描写の完成度の高さ、何より政治的な謀略が交錯する物語の運びは圧巻の一言。作者様の言う通り、まずは物語の五話まで読んで頂き、そしてそのまま一章の最後まで駆け抜けていくことをオススメします。

驚くような展開が二度、三度はあるでしょう。これから読む方々には期待を持って楽しんで頂きたいと思います。畏れ多くも稚拙なレビューを失礼しました。

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