水面下で、権力者たちの派閥争いが激化する"孤島の楽園"リデフォール王国。本作は貴族の暗殺、宰相のクーデター、交錯する複数の想いが魅力的な国盗り物語である。
"楽園"の実態を憂える若き騎士アルノーも然ることながら、一見すると巨悪にも思える宰相ロベールもまた、彼なりの信念や正義、理想を胸に行動しているなど、一概に善悪の括りで登場人物を語れないのも本作の魅力の一つと言える。
犠牲なくして、真の平穏は勝ち取れない。それぞれの想いを胸に、変革を望む者たちは権謀術数の限りを尽くす。たとえ、どれほどの血を流すことになろうとも、己を信じて、己の理想を信じて前に進むしかないのだから。
緻密な設定、重厚な世界観、手に汗握る戦闘描写など、見どころ満載な本作。果たして、どのような結末が待っているのだろうか。
登場人物たちの掛け合いなど明るく楽しいシーンもあるものの、全体的にはダークな雰囲気が立ち込めているお話です。
主人公は平和な国、平等な社会を夢みる青年騎士、アルノ―。彼はその夢を実現すべく、手段を選ばず邁進していきます。その姿は泥臭くも、揺るぎない決意を胸に突き進んでいくのです。
彼と共に行動する幼馴染アーネ、アルノ―の道場の弟子たちも、頼もしい活躍を見せてくれます。敵対する人物も魅力的に描かれており、退場するのが勿体なく感じることも!
このお話における魔法が触媒を必要としている点も、個人的に好きな部分です。水術を使うために水を皮袋で携帯しているところとか。そういう、万能でない設定が、お話に絡んでくるのが楽しいです。街中の描写も丁寧で、一緒に歩いている気分になれますよ!
5話、6話くらいから、お話の雰囲気が変わります。そこでアルノ―を支持、もしくは見守ることができるか否かで、お話から受ける印象が少し変わるかもしれません。私はこの先、彼がどのような道を歩み、その手で何を掴むのか。それを見届けてみたい、という気持ちでいます。
丁寧に描かれたダークファンタジーです。
お薦めします(^^)!
完成度の高い物語です。特筆すべきは、主人公に立ちはだかる壁の高さ、ですね。強敵、それも策謀にも長けた頭がいい敵の描写は、非常に難易度が高いものです。主人公も十分以上に強いのですが、敵が本当にこれ勝てるのかな、と思わせる迫力で、彼の前に立ちはだかります。
タイトル通り、読んでいて時折辛くなるほどの、まさしく荒れ野、荒野をゆく道のりでした。
騎士アルノーが玉座を目指して、苦しみ足掻きながらも、一つ一つ重ねてゆくその行動の果てに何が待つのか――。どうかそれをご自身でお確かめください。
緻密なプロットの元に生き生きとした多数のキャラクター。
じっくりと読まれることをお勧めします。
王に成ることを夢見たひとりの騎士の物語。それは単純に胸が熱くなるような成り上がりの活劇には留まらない。
苦悩しながらも愛する者のため、多くの人々のため、何処までも冷徹になり、残忍な手段に訴えてでも己の願いを叶えようとする主人公の姿は自己犠牲の塊で哀しくも痛ましい。
次第に心が壊れていき、それでも払った犠牲を無駄にしないため、王に成るのことを夢見続けた彼が迎える結末、『第一章』のラストまで是非とも見届けてほしいと思います。
時折繰り広げられるキャラ達の会話劇も面白おかしく、シリアスとコメディのバランスが取れた良い作品です。緻密な文体とそれからなる情景描写の完成度の高さ、何より政治的な謀略が交錯する物語の運びは圧巻の一言。作者様の言う通り、まずは物語の五話まで読んで頂き、そしてそのまま一章の最後まで駆け抜けていくことをオススメします。
驚くような展開が二度、三度はあるでしょう。これから読む方々には期待を持って楽しんで頂きたいと思います。畏れ多くも稚拙なレビューを失礼しました。
リヴァイアサン───大海蛇の水晶。
莫大な力を秘め、数多の魔石の中でもとりわけ最高位、世界に四つしかない魔石の一つ。
リデフォール王家の象徴。
(王族のミドルネームとしてもリヴァイアサンの名前は用いられている。)
とはいえ、王族の血筋のものが全員扱えるわけではない。
まだまだ解明が進んでいない、オーパーツのような魔石である。
主人公は、騎士団長補佐官、アルノー。
騎士団長であり、リデフォール王国王太子であるジェラールは、自分の腹心であるアルノーに、言う。
「おまえは騎士に夢を見すぎだ。」
荒れ野のリヴァイアサン───。
まさしく、主人公アルノーの征く道は、荒れ野。
激しく風吹きすさび、大地はただれ、道なき道を行く。
輝く夢を、手放してはならない愛を、必死に胸に握りしめながら、アルノーは、ただ一人、よろめきながら荒れ野を歩いていくのです……。
何を言ってるかわからない?
すいませ───ん!(いきなりの謝罪)
伏線がばっちり張り巡らされ、謀略がうずまき、切ない愛も描かれ、魔法、魔石をつかったバトルもふんだんに楽しめます。
主人公とヒロインの会話も、ぽんぽん弾むようで楽しいです。
何より、話の密度が濃い物語で、正直、どこを切り取ってレビューするか迷う物語でもあります。
なので、最新話まで拝読して、心に浮かんだイメージを書かせていただきました。
ドラマチックな展開がどんどん続く、飽きないハイファンタジーですよ!
ぜひご一読を!
※第二章、第41話(下)まで読了してのレビューです。
「綿密」。隅々までに血が通い、息づく世界。
世界構築の手腕に、ページを捲るたびに驚嘆致します。「こんなふうに書いてみたい!」と羨望を抱くほどに素晴らしいです。
美しい筆致で描かれるのは、大願の為の戦い。
策謀を策謀で返す緊張感溢れる頭脳戦と、スケールの大きい戦闘描写が大変魅力的です。シリアス展開が多く、読んでいて胸が張り裂けそうになる場面もありますが、「胸が張り裂けそうになる」ほどに説得力を持った文章なのです。
予想を飛び越える、衝撃的な展開の数々。
惹きつけられずには、心動かさずにはいられません。
時間をかけて、じっくりと読まなければ勿体無い!
素晴らしきダークファンタジーです。皆様もぜひ。
プロローグから息を飲む展開が始まり本編がスタートします。
派閥争い中に起こった王国派貴族の暗殺は、宰相が行ったにしては違和感があると、謎の勢力をにおわせます。
この謎の勢力こそが、現状に一石を投じることになります。
王国騎士アルノーを中心に物語が動いていきますので、宰相の思惑を防ぐお話かとおもいきや。
なんとなんと……予想外。読まれたらビックリすると思います。
複雑に張られた伏線や思惑、登場人物たちの感情に心を奪われることはもとより、政治背景、世界観がしっかり表現されていますので、その場の空気を感じられます。特に戦闘シーンの緊迫感は凄いです、ドキドキします。
また、重厚なストーリーですが、文章が丁寧でとても読みやすいです。
現実を変えて良き未来を手に入れるためにアルノーは邁進します。
そして何かを得るために、何かを捨てていきます。
これからどうなるの!? と好奇心を刺激され、時間を忘れて読みふけることでしょう。
一話のボリュームが多いのでじっくり読みたい人、世界観にどっぷり浸かりたい人にお勧めです。
現時点の更新を読み終えたので投稿します。
クオリティがとても高いです。作品が全体的に高いのですが、個人的にはキャラが非常に良かったです。主人公アルノーや味方はおろか敵であるロベールも非常に作り込まれています。
倒すべき敵というスタンスは取りつつもアルノーと対を成す正義を持ち、権謀術数を駆使して、極限まで追い詰める姿は紹介に上げた要素を強く味わえる要素になっています。
バトルに陰謀、舌戦。各々がしっかりと根差した思いを抱いているからこそ戦いは熱くなる!
互いに一歩も引かない戦いは、最後までどうやって出し抜くのだと全く読めませんでした!!
これら以外にも構成力や伏線の設置などの完成度も高く、次の更新が待ち遠しい作品です!!
骨太の物語、ダークファンタジーをお求めの方には是非とも手に取って欲しいです!
品行方正な王国騎士アルノー。物語は彼を中心にして動いていきます。
冒頭からいきなり要人暗殺という物々しい事件から始まりますが、アルノーを取り巻く登場人物たちとの掛け合いがとても楽しく、また丁寧に描かれている世界観にもすっと入り込んでいけます。
あらすじにも書かれているとおり、物語の展開が序盤からガラリと変わっていくのですが、そこに至るまでのバッグボーンがしっかりと綴られているため、時にはかの人物に感情移入してしまうかもしれません。
また敵対する陣営の登場人物も魅力に溢れています。
本作品は剣と魔法のファンタジーですので、迫力のある戦闘場面からも目が離せませんし、途中で挟まれる登場人物たちとの会話がより臨場感を演出しているように感じました。
さまざまな権謀術数が巡らされた至高のダークファンタジー。
ハイファンタジーがお好きな方も、久しくファンタジーに触れていなかった方にもおすすめ出来る作品です。