権謀術数の限りを尽くし、理不尽に抗う物語

水面下で、権力者たちの派閥争いが激化する"孤島の楽園"リデフォール王国。本作は貴族の暗殺、宰相のクーデター、交錯する複数の想いが魅力的な国盗り物語である。

"楽園"の実態を憂える若き騎士アルノーも然ることながら、一見すると巨悪にも思える宰相ロベールもまた、彼なりの信念や正義、理想を胸に行動しているなど、一概に善悪の括りで登場人物を語れないのも本作の魅力の一つと言える。

犠牲なくして、真の平穏は勝ち取れない。それぞれの想いを胸に、変革を望む者たちは権謀術数の限りを尽くす。たとえ、どれほどの血を流すことになろうとも、己を信じて、己の理想を信じて前に進むしかないのだから。

緻密な設定、重厚な世界観、手に汗握る戦闘描写など、見どころ満載な本作。果たして、どのような結末が待っているのだろうか。

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