物語のジャンルは魔術師が戦闘機ロボットに搭乗し、熾烈な戦いを繰り広げるという、シリアスなSFロボットアクション。
機体や戦略兵器の大半の名称が天使もしくは数多ある神話の神や武器から名を冠していて、かなりカッコいい印象を受けました。魔術師だから兵器名もキャスターというのが秀逸ですね。
読んでいて思ったことなのですが、こうしたジャンルの物語ではわかりにい専門用語などが並んでしまいがちなのですが、とりわけ多いわけでもなく、あったとしても不思議なことにスラスラと頭に入ってきました。
それと戦闘描写の光景も、脳裏でそのシーンを描きにくいということもなく、機体がどのような動きをしているのかかりやすくて良かったです。
主人公アルバートとその親友アインの二人がどのような運命を辿るのか見ものです。
この作品は、私のお気に入りの1つでして「ロボット」ものの「SF」になります。設定もカッコいいのですが、何よりカッコいいのが登場人物。なんというか「バチバチ」した人間関係、戦場で起こる事態に対する「心の揺らぎ」。
そう、昔懐かし「SF」に入っている「王道」のエッセンスがこの作品にはつまっているのです。そして、ないより「勝ち目」がない時は「引く」というストーリーを作れるのが素晴らしいです。
最近の小説は「テンポ」を優先するため、「負ける」とか「撤退する」とうい選択肢がないんですよね。だから、リアリティがないというか、、、しかし、この小説にはそれがあります。昔懐かし「王道」のSFを読みたい人は是非!!
話タイトルの通りの導入で王道を地で行く堂々の開幕でした。
話の展開が早く導入直後には因縁の相手、何かと絡む「嫌なヤツ」などの位置が自然と埋まっているため、リメイクし練りに練った物語ということが読み手にもヒシヒシと伝わってきています!
節々に漂う主人公の苦悩の道のりがまた応援したくなります。
話的にはいきなりエース!!ではなく、ちょっと目をかけられている程度のスタートというのも導入に相応しい丁寧な展開で安心して読み進めることができます。
様々なしがらみなどを至る所に散りばめながらも初陣を飾ることになるのですが、量産機での出陣は胸に込み上げてくるものが・・・!
初陣だからといってしがらみから解放されるなどということはなく更なる問題が積み上がっていくわけですが・・・
様々な問題の芽を匂わせる序盤から、どのような物語に収束していくのかが気になる、とても読み応えのあるロボットモノです!